結論:糖尿病でも、障害年金を受け取れることがあります
糖尿病は、障害年金の対象になる病気です。ただし、糖尿病と診断されただけで受け取れるわけではありません。糖尿病では、大きく2つの場合があります。1つは、インスリン治療を続けていても血糖のコントロールが難しいなど、糖尿病そのものの状態で見られる場合です。もう1つは、人工透析、目の病気(網膜症)、神経の障害、壊疽による足の切断など、合併症の状態で見られる場合です。
受け取るための条件は、大きく3つです。初診日(障害の原因となった病気で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)に、国民年金か厚生年金に加入していたこと。初診日の前日までの保険料の納付状況が要件を満たしていること。そして、障害認定日(原則として初診日から1年6か月後)か、その後65歳になるまでに、障害の状態が等級に当たっていることです(後者の場合の請求は、65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります)。
糖尿病そのもので見られる場合は、障害認定基準に3級の例示があり、症状や日常生活の状況によっては、さらに上の等級に認定されることもあります。この記事では、糖尿病で障害年金を考えている方のために、受け取れるかどうかの考え方、準備するもの、注意点を説明します。
糖尿病で障害年金を受け取れるのは、どんなときか
条件の1つめは、初診日に年金制度へ加入していたことです(ただし、20歳前の期間や、日本に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合も、障害基礎年金の対象になります。60歳以上65歳未満の期間については、老齢基礎年金を繰り上げて受け取っている方は対象になりません)。会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間に初診日があれば、1級・2級では障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされ、3級では障害厚生年金だけが支給されます。自営業やフリーランス、学生などで国民年金に加入していた期間に初診日があれば、障害基礎年金(1級・2級)の対象になります。
当センターの事例でも、糖尿病で3級が決まったのは、いずれも初診日に厚生年金(または共済組合)に加入していた方です。3級は厚生年金の制度にしかないため、初診日に国民年金に加入していた方は、糖尿病そのもので3級に当たる状態でも、障害年金の対象になりません(合併症の状態、または糖尿病そのものの状態が特に重く、2級以上に当たる場合は、対象になります)。
2つめは、保険料の納付です。初診日がある月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間をあわせて3分の2以上あることが原則です(初診日の前日で判定します)。令和18年3月末までに初診日があって、初診日に65歳未満であれば、初診日がある月の前々月までの1年間に未納がなければよい、という特例もあります。
3つめは、障害の程度です。糖尿病そのものについては、インスリン治療の状況、インスリンを自分でつくる力を示す検査値(Cペプチド)、重い低血糖やケトアシドーシスによる入院の有無、日常生活の状態が見られます。合併症がある場合は、合併症の状態が見られます。
初診日や納付要件のくわしい説明は、100の質問の「初診日とは何ですか?」(Q13)と「障害年金はどんな人がもらえますか?」(Q2)をご覧ください。
糖尿病は、どのように等級が判断されるのか
障害認定基準(第3第1章第15節 代謝疾患による障害。平成28年6月1日に一部改正)では、糖尿病そのものについて、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、①空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満(インスリンを自分でつくる力が枯渇している状態)、②意識障害により自分で回復できない重い低血糖が平均して月1回以上、③インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群で年1回以上入院、のいずれかに当たり、かつ、日常生活の状態が一般状態区分表の「イ」または「ウ」に当たるものを3級としています。検査日より前に90日以上続けて必要なインスリン治療を受けていることも条件です。症状や日常生活の状況によっては、さらに上の等級に認定されることがあります。
当センターの事例では、Cペプチド値などの検査成績を確認するため、面談のときに数か月分の血液検査の記録を持ってきてもらった事例があります。1型糖尿病で、Cペプチド値(インスリンをつくる力を示す検査値)が認定基準に当てはまっていることを確認してから、ご契約になった事例もあります。糖尿病手帳を見ると、認定日のころのCペプチド値が認定基準に入っていたため、さかのぼっての請求ができる可能性がある、とお伝えした事例もあります。
等級の決まり方は、100の質問の「障害年金の等級(1級・2級・3級)はどう決まりますか?」(Q4)をご覧ください。
インスリン治療だけで、対象になるのか
当センターの事例には、主治医が「インスリン治療だけでは障害年金の対象にならないのでは」と考えていて、どのような状態なら障害年金の対象になるのかを詳しく説明して、診断書を作成してもらった事例があります。また、医師が糖尿病は障害年金の対象になることを疑っていたため、年金用の診断書の必要な記載部分を分かりやすく説明して、書いてもらえた事例もあります。
インスリン治療を続けていることは、3級の前提条件で、それだけでは足りません。上の①〜③のいずれかと、日常生活の状態の条件の両方が必要です。合併症がなくても、これに当たれば、糖尿病そのもので3級の対象になります。
診断書には、現在の状態と、日常生活への影響を書いてもらいます
糖尿病の診断書は、血液検査の数値の欄があります。当センターの事例では、次のような工夫をしています。
- 過去に2回請求して不支給になっていた方の事例では、診断書の血液の数値は認定基準に入っていましたが、「体調に問題がない」と書かれた箇所がありました。実際の不調の様子を医療機関にお伝えし、医師の判断で記載を見直していただきました。申立書には、職場で不調になったときの対応、自宅で家事をしているときの不調、外出時の不調を細かく書いて、3級が決まりました。
- 申立書に、仕事中に頻繁に休憩をとらなければならないこと、同僚に助けてもらっていること、自宅での過ごし方などを詳しく書く。
- 入浴や買い物での不便、仕事を辞めたことなどを書く。
障害認定日による請求では、障害認定日より3か月以内の現症の診断書が必要です。障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、請求日前3か月以内の現症の診断書もあわせて必要です(日本年金機構)。当センターの事例では、認定日の2日前に受診していたものの、1年6か月が過ぎたあとを現症日にする必要があったため、あらためて受診してもらい、現症日を1年6か月から1年9か月の間にして診断書を書いてもらいました。認定日のあとすぐに申請し、書類に不備もなかったため、2か月弱で3級が決まりました。
初診日の確認が、最初の大切な作業です
障害年金の申請では、初診日がいつかを証明することが、最初の大きな作業になります。糖尿病は、健康診断で気づいたり、別の症状で受診して血液検査で分かったりして、治療も長く続くため、初診日が古く、転院も多くなりがちです。当センターの事例にも、次のようなものがありました。
- 25年前から糖尿病の治療をしていて、転勤が多く、これまでに受診した病院が5か所に及び、最初の病院は閉院し、2番目の病院にもカルテが残っていなかった事例では、過去の健康診断の結果など、残っていた資料をひとつずつ確認して、初診日を裏付ける資料を整理して請求し、初診日が認められ、人工透析を受けていたことから障害厚生年金2級が決まりました。
- 同じく25年前に会社の健康診断で糖尿病を指摘され、転勤のたびに転院した事例では、現在の病院は6か所目で、1〜3か所目にはカルテが残っていませんでした。4か所目の病院に受診状況等証明書を作成してもらい、3か所目の病院の診療情報提供書(初診時の詳しい状況が書かれていたもの)を添付し、当時の同僚の第三者証明も取りました。
- 10年前に歯がどんどん抜けて、近所の歯科医院を受診し、総合病院の歯科で血液検査をして糖尿病と分かった事例では、最初の歯科医院にカルテが残っていませんでしたが、総合病院に歯科医院からの紹介状が保管されていたため、初診日が分かりました。
- 膀胱炎で泌尿器科を受診し、血液検査で血糖値の異常が見つかった事例では、泌尿器科で受診状況等証明書を作成してもらいました。
糖尿病の初診日の確認では、機構の「障害年金の初診日に関する調査票【糖尿病用】」を使うことがあります。この調査票には、だるさや口の渇きを自覚した時期、健康診断で尿糖を指摘されたかどうか、健診のあとすぐに受診したかどうか、などを書く欄があります。当センターの事例にも、この調査票を作成した事例があります。
くわしくは、100の質問の「初診日が分からないときはどうすればよいですか?」(Q26)をご覧ください。
認定日請求と事後重症請求
障害認定日(初診日から1年6か月が過ぎた日)のころの血液データが認定基準に当てはまっていれば、さかのぼって請求(遡及請求)できます。当センターの事例には、1型糖尿病で、初診が5年前で、認定日もCペプチド値が基準に入っていたため遡及請求をして、3年遡及(約200万円)と障害厚生年金3級が決まった事例があります。別の1型糖尿病の事例では、初診から4年が過ぎていても、現在と認定日で血液データがあまり変わっていなかったため、遡及請求を行い、3級が認められました。
一方で、認定日のころの血液データが認定基準に当てはまらない場合は、事後重症請求になります。当センターの事例には、初診当初からインスリン治療をしていたものの、認定日のころの血液データが3級の認定基準に当てはまらなかったため、事後重症請求になった事例があります。認定日のころは、インスリン治療を行うほど悪化していなかったため、事後重症請求として、障害厚生年金3級が決まった事例もあります。
くわしくは、100の質問の「遡及請求(さかのぼって受給)とは何ですか?何年分までもらえますか?」(Q78)をご覧ください。
合併症のとき
糖尿病の合併症は、それぞれの障害の基準で認定されます。
人工透析:糖尿病性腎症で人工透析を始めた場合は、原則として2級です。くわしくは、人工透析で障害年金はもらえる?をご覧ください。
足の切断:糖尿病性の壊疽で足を切断した場合は、肢体の障害として認定されます。障害認定基準では、片方の下肢を足関節以上で欠くものは2級、両方の下肢を足関節以上で欠くものは1級、片方の下肢をリスフラン関節以上で失ったものは3級(障害厚生年金のみ)とされています。認定の時期は、原則として、切断または離断をした日です(初診日から1年6か月を超える場合を除きます)。当センターの事例には、糖尿病性の右足壊疽で足を切断し、2年さかのぼって障害厚生年金2級が決まった事例や、糖尿病による下肢切断で障害基礎年金2級が決まった事例(切断が初診から2年後だったため、事後重症請求になりました)、入院中に手続きの委任を受けて、障害厚生年金2級(永久認定)が決まった事例があります。
目の病気(糖尿病性網膜症):視力や視野の障害として、眼の障害の基準(眼(視力・視野)の障害認定基準)で認定されます。
神経の障害:糖尿病性神経障害のうち、激痛、著明な知覚の障害、重度の自律神経症状などがあるものは、神経系統の障害の基準で認定されます。疼痛は、原則として認定の対象になりませんが、糖尿病性神経障害による激痛などは、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間などをみて、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級と認定されます。
糖尿病と、うつ病など別の病気が重なっている場合は、それぞれの病気で請求できます。当センターの事例では、糖尿病とうつ病を併せて障害年金の請求を考えていた方について、先に糖尿病を請求し、続けて精神の障害を請求しました。
働いていても、受け取れますか
働いていることだけを理由に、対象外になるわけではありません。糖尿病では、仕事の内容や、職場での配慮が見られます。当センターの事例では、就労を続けていても、同僚に助けられていること、頻繁に休憩をとらせてもらっていることを申立書に明記して、障害厚生年金3級が決まりました。
くわしくは、100の質問の「働いていると障害年金はもらえませんか?」(Q53)と「フルタイムで働いていても障害年金はもらえますか?」(Q54)をご覧ください。
診断書は、何科の医師に、どう書いてもらうか
糖尿病そのものの診断書は、日本年金機構の「診断書(腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用)」の様式を使います。HbA1c、血清Cペプチド値、血糖コントロールが困難な状況(低血糖、ケトアシドーシス等による入院の回数)、90日以上続けて必要なインスリン治療を行っていること、などを書いてもらいます。診療科の指定はなく、障害の原因となった病気を診療している医師に書いてもらいます。合併症で請求する場合は、その障害の様式(眼、肢体、腎疾患など)を使います。
診断書の費用は、医療機関ごとに決められており、健康保険の対象外です。依頼する前に、料金と作成にかかる期間を確認してください。くわしくは、100の質問の「診断書はどの医療機関で書いてもらえばよいですか?」(Q19)をご覧ください。
障害者手帳との関係
障害年金と、障害者手帳は、別の制度です。手帳があることと、障害年金を受け取れることは別で、手帳を持っていなくても、障害年金の申請はできます。くわしくは、100の質問の「障害者手帳を持っていれば障害年金をもらえますか?」(Q7)をご覧ください。
受け取れる金額の目安
障害基礎年金は定額です。令和8年度(2026年度)は、2級が年額847,300円、1級が年額1,059,125円です(昭和31年4月2日以後生まれの方の額です。子がいる場合は、加算があります)。障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間や、それまでの給与の額で変わります。1級・2級では、障害基礎年金に上乗せして支給されます。3級には最低保障額(令和8年度は年額635,500円・昭和31年4月2日以後生まれの方の額)があります。
年金額は年度ごとに改定されるため、最新の金額は、障害年金の金額のページでご確認ください。障害年金は、所得税や住民税がかからない年金です。
申請の流れと、結果が出るまでの期間
申請は、初診日と年金制度の確認、初診日の証明、診断書の依頼、申立書の作成、年金請求書の提出、という順で進みます。年金請求書を提出してから、決定の通知と年金証書が届くまでは、3か月程度が目安です(日本年金機構「障害年金ガイド」の目安です。障害の状態を詳しく確認する必要がある場合などは、通常より時間がかかることがあります)。受け取れることが決まると、年金証書が届き、1〜2か月後ごろに最初の振込が始まります。
くわしい手順は、100の質問の「障害年金の申請の流れを教えてください」(Q17)をご覧ください。
不支給になった場合と、受給後の更新
審査の結果、不支給になることもあります。不支給の通知が届いたときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求ができます(共済組合等が決定した場合は、不服申立ての窓口が異なります)。診断書や資料をそろえ直して、あらためて請求し直す方法もあります。どちらが適しているかは、不支給の理由によって変わります。当センターの事例には、過去に2回請求して不支給になっていた方が、診断書の記載を見直してもらい、申立書を詳しく書いて、あらためて請求し、3級が決まった事例があります。
障害年金を受け取り始めたあとも、多くの場合、1〜5年ごとに、障害状態確認届(診断書)を提出して、障害の状態を確認されます。症状が改善したと判断されると、年金額が下がったり、支給が停止したりすることがあります。反対に、悪化したときは、等級を上げる請求(額改定請求)ができます。3級の障害厚生年金だけを受けている方(過去に2級以上になったことがない方)は、65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。ただし原則として、年金を受ける権利が発生した日(受給権を取得した日)や、障害の程度の診査を受けた日から1年が過ぎてからでないと請求できません。
くわしくは、100の質問の「不支給の通知が届きました。どうすればよいですか?」(Q68)と、「障害年金の更新(障害状態確認届)とは何ですか?」(Q72)をご覧ください。
当センターに、ご相談ください
愛媛・松山障害年金相談センター(運営:社会保険労務士法人あいパートナーズ)は、四国全域の方を対象に、障害年金の申請をサポートしています。初回の相談は無料です。電話、メール、LINE、Zoomでのご相談に加えて、LINE・郵送・メールだけで申請を進めることもできます。入院中の方やご家族だけでのご相談も、ご本人の同意があれば承ります。一度も事務所にお越しにならずに、受給された方もいらっしゃいます。
料金は、受給後報酬型です。受給できた場合に、受給後報酬をいただきます。受給できなかった場合は、受給後報酬はいただきません。ただし、事務手数料(2.2万円・税込)は、委託後1週間以内にお支払いいただき、結果にかかわらず返金できません。くわしくは、サポート料金のページをご覧ください。受給をお約束するものではありません。
電話:089-907-3797(平日9:00〜18:00)。LINEとメールは、24時間受け付けています。無料受給判定で、受け取れる可能性を、1分で確認することもできます。
糖尿病の受給事例
糖尿病で障害年金を受給された方の事例を、一部ご紹介します。個人が特定されないよう、内容を調整しています。
- 一型糖尿病で障害厚生年金3級が決定、3年遡及請求をした事例
- 1型糖尿病で障害厚生年金3級、年間約58万円(遡及約170万円)受給できたケース
- 急激な視力低下や頻尿で糖尿病を疑い受診。ネット検索で障害年金対象になると知り認定日前から準備を行った
- 一型糖尿病は対象になるのか?ラインでお問い合わせいただきご契約。無事障害年金3級が決定した事例
- 糖尿病で、自身で障害年金請求したが不支給。再請求をした結果、障害共済年金3級が決定した事例
- 25年前から糖尿病、転勤族で何度も転院を繰り返した。精神疾患も併せて障害年金請求をした事例
- 25年前の糖尿病で初診日の証明に苦慮。人工透析で障害厚生年金2級が決定した事例
- 糖尿病による下肢切断で障害基礎年金2級、年間約78万円受給できたケース
- 糖尿病性壊疽により下肢切断となった方、入院中に手続き委任を受けて障害厚生年金2級を受給決定した事例
- 糖尿病性右足壊疽による足切断(四肢切断)で障害厚生年金2級を取得、2年遡及できた事例
事例は、受給をお約束するものではありません。同じ病名でも、結果は一人ひとりの状況で異なります。
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- 糖尿病は障害年金を受給できるかとご質問をいただきました。
制度の内容は、2026年10月時点の日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」、診断書の記載要領などの公開情報にもとづいています。法改正などで変わることがあります。
執筆・監修:社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 社会保険労務士 岩本浩一
手足の切断全般の注意点(切断した日が認定日になる条件など)は、手足切断で障害年金はもらえる?でも解説しています。






















