結論:人工透析を受けている方は、障害年金を受け取れることがあります
人工透析療法(血液透析など)を受けている方は、障害年金の対象になることがあります。障害認定基準(腎疾患)では、人工透析療法を行っている場合は、原則として2級に当たる、とされています。
受け取れるかどうかは、透析を始めたあとの状態だけでなく、初診日(原因の病気で初めて医師の診療を受けた日)に加入していた年金制度と、保険料の納付状況で決まります。透析の原因になった病気は、糖尿病や腎炎のように、何年も前から通院していることが多く、初診日が古くなりがちです。この記事では、人工透析で障害年金を考えている方のために、受け取れるかどうかの考え方と、準備するもの、注意点を説明します。
人工透析で障害年金を受け取れるのは、どんなときか
条件の1つめは、初診日に年金制度へ加入していたことです。会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間に初診日があれば、2級では障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされます。自営業やフリーランス、学生などで国民年金に加入していた期間に初診日があれば、障害基礎年金の対象になります。
2つめは、保険料の納付です。初診日がある月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間をあわせて3分の2以上あることが原則です(初診日の前日で判定します)。令和18年3月末までに初診日があって65歳未満であれば、初診日がある月の前々月までの1年間に未納がなければよい、という特例もあります。
3つめは、障害の程度です。人工透析療法を行っている場合は、原則として2級です。透析を始める前でも、腎臓の機能の低下が進んでいる場合は、検査の数値や症状などから、等級に当たることがあります(3級は、厚生年金に加入していた期間に初診日がある方だけです)。
初診日や納付要件のくわしい説明は、100の質問の「初診日とは何ですか?」(Q13)と「障害年金はどんな人がもらえますか?」(Q2)をご覧ください。
障害認定日は、透析を始めて3か月が過ぎた日
障害年金の障害認定日は、原則として、初診日から1年6か月が過ぎた日です。人工透析療法には例外があり、初診日から1年6か月以内に透析を始めた場合は、透析を初めて受けた日から3か月が過ぎた日が障害認定日になります。
初診日から1年6か月が過ぎてから透析を始めた場合は、この例外は使えず、障害認定日は初診日から1年6か月が過ぎた日のままです。初診日が何年も前の方は、多くがこちらに当たります。障害認定日に障害の状態に当たっていなかった場合は、透析を始めたあとに「事後重症」として請求し、年金は請求した月の翌月分から支給されます。さかのぼっては受け取れないため、透析を始めたら、なるべく早く請求することが大切です。
障害認定日に障害の状態に当たっていた場合は、障害認定日にさかのぼって請求できます(時効のため、受け取れるのは5年分までです)。
障害認定日のくわしい説明は、100の質問の「障害認定日はいつになりますか?」(Q12)と「遡及請求(さかのぼって受給)とは何ですか?何年分までもらえますか?」(Q78)をご覧ください。Q&A「人工透析を行っている場合、初診日から1年6ヶ月経過後に申請可能なの?」も参考になります。
初診日は、透析の原因になった病気の受診日です
人工透析の場合、初診日は、透析を始めた日ではなく、透析が必要になった原因の病気で、初めて医師の診療を受けた日です。障害の原因になった病気の前に、相当因果関係があると認められる病気があるときは、最初の病気の初診日が初診日になります。糖尿病が原因の腎症(糖尿病性腎症)では、糖尿病で初めて受診した日が初診日として扱われることがあります。また、障害認定基準では、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む)・腎硬化症・多発性嚢胞腎・腎盂腎炎から慢性腎不全になった場合は、期間が長くても相当因果関係があるとされています。
そのため、初診日が20年、30年前になることがあります。ここで、よく問題になるのが、初診の病院にカルテが残っていないことです。終診から5年を過ぎると、カルテが廃棄されていることがあります。そのような場合でも、診察券やお薬手帳、糖尿病手帳、第三者の証明などを組み合わせて、初診日を認めてもらえることがあります。
くわしくは、100の質問の「初診日が分からないときはどうすればよいですか?」(Q26)をご覧ください。
働いていても、受け取れますか
働いていることだけを理由に、対象外になるわけではありません。人工透析の場合は、透析を行っているかどうかで等級の目安が決まるため、仕事を続けながら、2級を受給された方もいます(事例)。
くわしくは、100の質問の「働いていると障害年金はもらえませんか?」(Q53)と「フルタイムで働いていても障害年金はもらえますか?」(Q54)をご覧ください。
診断書は、腎疾患用の様式で書いてもらいます
診断書は、腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用の所定の様式で、透析を受けている医療機関などの医師に書いてもらいます。透析を始めた日と、透析の内容が、大切な情報です。
診断書の費用は、医療機関ごとに決められており、健康保険の対象外です。依頼する前に、料金と作成にかかる期間を確認してください。くわしくは、100の質問の「診断書はどの医療機関で書いてもらえばよいですか?」(Q19)をご覧ください。
受け取れる金額の目安
障害基礎年金は定額です。令和8年度(2026年度)は、2級が年額847,300円です(昭和31年4月2日以後生まれの方の額です。子がいる場合は、加算があります)。障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間や、それまでの給与の額で変わります。2級では、障害基礎年金に上乗せして支給されます。
年金額は年度ごとに改定されるため、最新の金額は、障害年金の金額のページでご確認ください。障害年金は、所得税や住民税がかからない年金です。
65歳を過ぎてから透析を始めた場合や、老齢年金を受けている場合
障害年金の「事後重症」による請求は、65歳の誕生日の前々日までにしなければなりません。そのため、65歳を過ぎてから透析を始めた場合、障害認定日(原則として初診日から1年6か月が過ぎた日)に障害の状態に当たっていなければ、請求できないことがあります。障害認定日に障害の状態に当たっていた場合は、65歳を過ぎても、障害認定日にさかのぼって請求できることがあります。また、老齢基礎年金を繰り上げて受け取っている方は、事後重症による障害年金を請求できません。くわしくは、Q&A「65歳過ぎて人工透析を受けた場合は遡及することができますか?」をご覧ください。
老齢年金との関係は、年齢で変わります。65歳になるまでは、障害年金と老齢年金を同時には受け取れず、どちらか1つを選びます。65歳以降は、「障害基礎年金+障害厚生年金」「老齢基礎年金+老齢厚生年金」「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせから選ぶことができます。働きながら老齢厚生年金を受け取っていた64歳の方が、障害厚生年金を選んで受給された事例もあります(事例)。くわしくは、100の質問の「障害年金と老齢年金は同時にもらえますか?」(Q57)をご覧ください。
申請の流れと、結果が出るまでの期間
申請は、初診日と年金制度の確認、初診日の証明、診断書の依頼、申立書の作成、年金請求書の提出、という順で進みます。審査には、年金請求書を提出してから、3か月程度かかるのが目安です。受け取れることが決まると、年金証書が届き、1〜2か月後ごろに最初の振込が始まります。
くわしい手順は、100の質問の「障害年金の申請の流れを教えてください」(Q17)をご覧ください。
不支給になった場合
審査の結果、不支給になることもあります。不支給の通知が届いたときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求ができます(共済組合等が決定した場合は、不服申立ての窓口が異なります)。診断書や資料をそろえ直して、あらためて請求し直す方法もあります。どちらが適しているかは、不支給の理由によって変わります。
くわしくは、100の質問の「不支給の通知が届きました。どうすればよいですか?」(Q68)をご覧ください。
受給したあとの更新と、腎移植
受給が決まったあとも、障害の状態を確認するため、1〜5年ごとに「障害状態確認届(診断書)」の提出を求められることがあります。誕生月の3か月前の月末ごろに届き、誕生月の末日までに提出します。また、障害年金を受けている方が腎臓移植を受けた場合は、臓器が安定して働くまでの期間を考えて、術後1年間はそれまでの等級のままとされ、その後は術後の症状や検査成績などから、あらためて認定されます。
当センターに、ご相談ください
愛媛・松山障害年金相談センター(運営:社会保険労務士法人あいパートナーズ)は、四国全域の方を対象に、障害年金の申請をサポートしています。初回の相談は無料です。電話、メール、LINE、ZOOMでのご相談に加えて、LINE・郵送・メールだけで申請を進めることもできます。一度も事務所にお越しにならずに、受給された方もいらっしゃいます。
料金は、受給後報酬型です。受給できた場合に、受給後報酬をいただきます。受給できなかった場合は、受給後報酬はいただきません。ただし、事務手数料(2.2万円・税込)は、委託後1週間以内にお支払いいただき、結果にかかわらず返金できません。くわしくは、サポート料金のページをご覧ください。受給をお約束するものではありません。
電話:089-907-3797(平日9:00〜18:00)。LINEとメールは、24時間受け付けています。無料受給判定で、受け取れる可能性を、1分で確認することもできます。
人工透析の受給事例
人工透析で障害年金を受給された方の事例を、一部ご紹介します。個人が特定されないよう、内容を調整しています。
- 慢性腎不全による人工透析で障害年金2級が認められたケース|就労中でも受給可能
- 25年前の糖尿病で初診日の証明に苦慮。人工透析で障害厚生年金2級が決定した事例
- 人工透析開始翌月に障害年金を請求|腎不全から透析での年金請求に切り替えた事例
- 巣状糸球体硬化症から末期腎不全になり人工透析を開始、初診から30年経過して障害年金請求を行った事例
事例は、受給をお約束するものではありません。同じ透析でも、結果は一人ひとりの状況で異なります。
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制度の内容は、2026年10月時点の日本年金機構などの公開情報にもとづいています。法改正などで変わることがあります。
執筆・監修:社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 社会保険労務士 岩本浩一






















