結論:障害年金は、自分で申請できます。ただし、つまずきやすい点があります
障害年金は、ご本人(またはご家族)が、自分で申請できます。専門家に頼むことが、申請の条件になっているわけではありません。年金事務所や街角の年金相談センターでは、障害年金の請求について、予約して相談することができます(日本年金機構「予約相談」)。
ただし、障害年金の申請は、書類が多く、初診日の証明や診断書の内容など、結果を左右する点がいくつかあります。一度不支給になると、同じ内容では覆しにくいことがあります。この記事は、自分で申請することを考えている方に、手続きの流れ、つまずきやすい点、不支給になったときの道、専門家に頼むかどうかを考える目安を説明します。
自分で申請する流れと、必要な書類
手続きの大まかな流れは、次のとおりです。1. 初診日と、そのとき加入していた年金制度、保険料の納付状況を確認する。2. 初診日の証明書類(受診状況等証明書)を、初診の医療機関に依頼する。3. 診断書を、現在の主治医(障害認定日にさかのぼる場合は当時の医療機関)に依頼する。4. 病歴・就労状況等申立書を書く。5. 年金請求書などの書類をそろえ、提出する(初診日が国民年金の第1号被保険者の期間、20歳前(厚生年金に加入していなかった場合)、60歳以上65歳未満の未加入期間にある方は、お住まいの市区町村の窓口です。初診日が第3号被保険者の期間、または厚生年金の加入期間にある方は、年金事務所または街角の年金相談センターです。共済組合の加入期間にある方は、共済組合等です。100の質問Q28)。
くわしい手順は、100の質問の「障害年金の申請の流れを教えてください」(Q17)をご覧ください。主な必要書類は、年金請求書、医師の診断書、受診状況等証明書(初診時の医療機関と診断書を作成する医療機関が異なる場合)、病歴・就労状況等申立書、受取先金融機関の通帳などです。状況によって、戸籍謄本や住民票、所得証明書、事故状況届などが加わります。
診断書や申立書の書き方は、障害年金の診断書:種類・依頼・確認・書いてもらえないときの対処に、くわしくまとめています。
自分で進めやすい場合と、つまずきやすい場合
次のような場合は、書類をそろえる手間が比較的少なくなります。ただし、手間が少ないことと、受給できるかどうかは別です。受給できるかは、診断書などの内容をもとにした審査で決まります。
- 初診から現在まで同じ医療機関に通っていて、初診のときの記録が残っている(受診状況等証明書が不要になる場合があります)。
- 障害認定日にさかのぼらず、現在の状態で請求する(事後重症請求)。
- 主治医が、障害年金の診断書の作成に協力的である。
次のような場合は、つまずきやすくなります。
- 初診の医療機関が閉院している、カルテが廃棄されているなど、初診日の証明が難しい。
- 初診から時間がたち、通院先が変わっている。
- 主治医が診断書を書いてくれない、または、実際の状態より軽く書かれた。
- 障害認定日にさかのぼる請求(遡及請求)で、当時の診断書が必要になる。
- 複数の傷病があり、どの診断書をどう出すかの判断が必要になる。
- 精神の障害などで、病歴・就労状況等申立書に、生活の状況を具体的に書く必要がある。
- 一度ご自身で請求して、不支給になった。
自分で進めてつまずいた事例
当センターに寄せられた、ご自身での申請がうまくいかなかった事例には、次のようなものがあります。
- 腓骨神経麻痺で、ご自身で請求を進めていたところ、年金事務所に書類の不備を指摘されて手続きが止まっていた40代の女性の事例です。当センターが依頼を受け、現在の病院に診断書を依頼しました。診断書の作成が1か月たっても進んでおらず、計測のために受診してほしいと言われたため、受診日の調整をして、診断書ができあがりました。障害厚生年金(年額約58万円)が決まりました(事例)。
- 人工透析で、障害年金の手続きを進めていたものの、書類の煩雑さからご自身での手続きを断念した50代の男性の事例です。初診が28年前で、病院は閉院していましたが、糖尿病手帳に受診日の記載があり、手帳と診察券を初診の証明として、障害厚生年金2級(配偶者加算込み)が決まりました(事例)。
- 軽度知的障害で、ご自身で請求したものの不支給になった40代の男性の事例です。不支給になったときの診断書は、実際の日常生活が十分に反映されていませんでした。再度の請求では、病院に状況を細かく伝えて、現状が反映された診断書を作成してもらい、障害年金2級が決まりました(事例)。
- 糖尿病で、ご自身で2回請求して不支給になっていた50代の男性の事例です。当センターが再請求のために新しい診断書を取ったところ、血液の数値は認定基準の範囲でしたが、「体調に問題がない」と書かれた箇所がありました。病院に言葉の修正を依頼し、申立書に職場や自宅での不調を細かく書いて再請求し、障害厚生年金3級が決まりました(事例)。
これらは、「自分で申請すると必ず失敗する」という意味ではありません。診断書の内容や、書類の不備、初診日の証明のように、結果を左右する点がどこにあるのかが、見えにくいことが分かります。
自分で申請するときの、気をつけたい点
自分で申請するときは、次の点に気をつけてください。
- 提出する書類のコピーを必ず取っておく。 当センターのQ&Aには、ご家族がご自身で申請して受給できなかった(却下)方の相談で、申請書類一式のコピーがなく、どのような内容で申請したのかが分からないため、詳しいお話を伺えなかったものがあります(Q&A)。診断書のコピーを取っておらず、診断書にどんな内容が書かれているか分からなかった、というご相談もあります(Q&A)。
- 診断書は、受け取ったら、提出する前に中身を確認する。 初診日、診断名、現症日、日常生活の状態が、実際と合っているかを見ます。
- 現在の状態を書いた診断書は、現症日から3か月以内に請求する。 事後重症請求の診断書と、遡及請求で障害認定日と請求日が1年以上離れている場合の直近の診断書は、請求日前3か月以内の現症のものが必要です。期限を過ぎると、診断書を取り直すことになります。
- 請求が遅れるほど損をする場合がある。 事後重症請求の年金は、請求した月の翌月分からの支給で、さかのぼって受け取れません。遡及請求にも、5年の時効があります。
- わからない点は、早めに窓口で相談する。 年金事務所や街角の年金相談センターでは、制度や手続き、書類の書き方について案内を受けられます。障害の程度の審査は、請求書を提出したあとに、診断書などの書類をもとに行われます。窓口で相談した時点で、受給できるかどうかが決まるわけではありません。
不支給になったとき
審査の結果、不支給になることもあります。不支給の通知が届いたときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求ができます(社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第1項)(共済組合等が決定した場合は、不服申立ての窓口が異なります)。診断書や資料をそろえ直して、あらためて請求し直す方法もあります。どちらが適しているかは、不支給の理由によって変わります。不支給の理由は、通知書で確認します。
当センターのQ&Aには、ご自身で脳出血の後遺症の請求をして不支給になった方の相談で、診断書に「やや不自由」「杖を使用し歩く」と書かれていたため、審査請求をしても結果を覆すのは難しい、とお答えしたものがあります(Q&A)。一方で、ご自身で請求して不支給になったあと、症状が悪化したため、3年後に再度請求した事例もあります。再度の請求では、最初の傷病は症状が軽いとして再び不支給でしたが、あとから診断された別の傷病(頚椎症性脊椎症)で、障害基礎年金2級が決まりました(事例)。
なお、当センターでは、ご自身で申請して不支給になった方の再請求(あらためての請求)はお受けしていますが、審査請求・再審査請求は、当センターで申請した方に限ってお受けしています(100の質問Q83)。審査請求は、ご自身でも行えます。
くわしくは、100の質問の「不支給の通知が届きました。どうすればよいですか?」(Q68)をご覧ください。
専門家に頼むかどうかを考える目安
専門家(社会保険労務士)に依頼するかどうかは、ご自身の状況で決めてよいことです。次のような場合は、相談してみることを考えてもよいでしょう。
- 初診日の証明が難しい(初診の病院が閉院している、カルテがない)。
- 診断書を書いてもらえない、実際より軽く書かれた。
- 遡及請求を考えている。
- 病気のために、書類をそろえたり、病院や窓口とやり取りしたりすることが負担になっている。
- 一度不支給になった。
社会保険労務士に依頼すると、書類の作成、診断書の依頼の準備、年金事務所とのやり取りなどを任せられます。ただし、依頼しても、受給を保証できるわけではありません。受給の可否を決めるのは、日本年金機構(初診日に共済組合等に加入していた場合は共済組合等)です。
費用の考え方:報酬の仕組みは、事務所によって異なります。受給後に報酬をいただく形(成功報酬型)や、着手時に費用がかかる形があります。依頼する前に、報酬がいくらかかるか、受給できなかった場合に費用はどうなるか、診断書の費用などの実費は別にかかるか、不支給になった場合の対応(審査請求など)が含まれるかを、書面で確認してください。当センターの料金は、サポート料金のページで公開しています(100の質問のQ90もご覧ください)。
選ぶときの目安:報酬・実費・日当などの費用の全体と、受給できなかった場合の扱いが、契約の前に書面で示されるか。「必ず受給できる」といった説明をしていないか。実績の件数や受給率に、何を数えたものか・いつ時点かが書かれているか。ご自身の傷病(精神、内科、肢体など)について、申請の経験があるか。病気の状態に合わせた連絡手段(電話、メール、LINE、オンライン)があるか。くわしくは、100の質問Q91をご覧ください。
報酬を得て代行できる人:他人から依頼を受け、報酬を得て、年金請求書などの作成や提出の代行、請求の代理を仕事として行えるのは、原則として、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む)と弁護士です(社会保険労務士法第27条)。ご家族が無償で手伝うことは、これにあたりません。依頼先が社会保険労務士かどうかは、事務所の表示や、全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿で確認できます。
当センターに、ご相談ください
愛媛・松山障害年金相談センター(運営:社会保険労務士法人あいパートナーズ)は、四国全域の方を対象に、障害年金の申請をサポートしています。初回の相談は無料です。電話、メール、LINE、Zoomでのご相談に加えて、LINE・郵送・メールだけで申請を進めることもできます。入院中の方やご家族だけでのご相談も、ご本人の同意があれば承ります。一度も事務所にお越しにならずに、受給された方もいらっしゃいます。
料金は、受給後報酬型です。受給できた場合に、受給後報酬をいただきます。受給できなかった場合は、受給後報酬はいただきません。ただし、事務手数料(2.2万円・税込)は、委託後1週間以内にお支払いいただき、結果にかかわらず返金できません。このほか、診断書の作成料(医療機関に支払う実費)は、受給できたかどうかにかかわらずご負担いただきます。医師への同行などをご依頼いただく場合は、日当がかかることがあります(100の質問Q90)。くわしくは、サポート料金のページをご覧ください。受給をお約束するものではありません。
電話:089-907-3797(平日9:00〜18:00)。LINEとメールは、24時間受け付けています。無料受給判定では、1分ほどの入力で、受給の可能性について社会保険労務士の判定を受けられます(結果は目安で、受給をお約束するものではありません)。
65歳以上の方の障害年金については、65歳以上の方の障害年金:当センターでお手伝いできないこと、ご自身で確認していただきたいことでも解説しています。当センターでは、65歳以上の方の申請のお手伝いや無料相談は、原則としてお受けしておりません。
不支給になったときの手続き(審査請求・再請求)については、障害年金が不支給になったとき(通知から3か月以内の方へ):審査請求・再請求・期限でも解説しています。
障害年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金)については、障害年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金):どれを受け取れるかは初診日で決まりますでも解説しています。
初診日の証明(受診状況等証明書)については、受診状況等証明書とは:初診日の証明のしかた・取れないときの対処でも解説しています。
病歴・就労状況等申立書については、病歴・就労状況等申立書とは:書き方・書く内容・つまずきやすい点でも解説しています。
障害年金の基礎知識については、障害年金の基礎知識:制度の全体像と、知りたいことから探すでも解説しています。
ご自身での申請を経て、ご依頼いただいた事例
ご自身での申請を経て、当センターが再請求・申請を支援した事例を、一部ご紹介します。個人が特定されないよう、内容を調整しています。
- 自分で申請して不支給。3年後に状況が変わったことで再度申請し2級が決定した事例
- 糖尿病で、自身で障害年金請求したが不支給。再請求をした結果、障害厚生年金3級が決定した事例
- 自身で腓骨神経麻痺による障害年金手続きを進めていたけど書類不備を指摘され、手続きが頓挫していた方からご依頼され受給決定した事例
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執筆・監修:社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 社会保険労務士 岩本浩一






















