腓骨神経麻痺とは?原因・症状・障害年金の受給条件まで徹底解説

腓骨神経麻痺は足の動きや感覚に大きく影響を与える末梢神経障害の一つです。日常生活に支障が出ることも多く、重度の場合は障害年金の対象になることもあります。

本記事では、腓骨神経麻痺の原因や症状、診断の流れから、障害年金の制度と受給のポイントまでを詳しく解説します。

腓骨神経麻痺とは何か

腓骨神経麻痺とは、膝の外側から足の甲へと伸びる腓骨神経に障害が生じることで、足首や足指の運動機能および感覚が低下する神経障害です。この神経は足首を持ち上げる動きや、足の外側や甲の感覚をつかさどっており、麻痺が起こると歩行や立位に支障をきたすことがあります。

特に足首を上に反らす「背屈」が困難になり、足が下がったままになる「下垂足」と呼ばれる状態に至ることがあります。

原因は外部圧迫や外傷、全身疾患まで多岐にわたる

腓骨神経は膝の外側、腓骨頭のあたりを浅く通っているため、外部からの圧迫に弱い特徴があります。正座や足を組んだ姿勢を長時間続けたり、ギプスや包帯などで膝周囲を固定した状態が続いた場合に、神経が圧迫されて発症することがあります。手術後の体位保持や長期臥床中の姿勢不良でも神経麻痺が起こることがあるため、注意が必要です。

また、膝周囲の打撲や骨折といった外傷も腓骨神経を損傷する原因となります。特に腓骨骨折や膝関節の損傷は神経への直接的な影響を与えることがあり、外科的処置の過程で神経が伸展・圧迫されることもあります。

さらに、腫瘍やガングリオンなどの腫瘤が神経を圧迫して症状が出ることもあります。糖尿病や膠原病など全身性の疾患が背景にある場合、末梢神経障害の一環として腓骨神経麻痺が現れるケースもあり、慢性的かつ多発性に進行することも少なくありません。

主な症状は運動障害と感覚障害の両方に現れる

腓骨神経麻痺の症状は、大きく分けて運動障害と感覚障害に分類されます。運動障害としては、足首や足指を上げる動作が困難となり、いわゆる「下垂足」になります。この状態では、歩行時に足先が床に引っかかりやすく、つまずいたり、足を引きずるような歩き方になったりします。段差を超える際に支障を感じたり、階段の昇降が困難になることもあります。

感覚障害としては、膝の外側から足の甲、足指にかけてしびれや違和感、感覚の鈍さなどが現れます。特に足の外側や甲の感覚が低下し、触られてもわかりづらくなるような状態になることがあります。症状が進行すると、筋肉の萎縮や麻痺が固定されることもあり、日常生活に大きな制限が生じることもあります。

診断は問診・神経学的評価・画像検査を組み合わせて行う

腓骨神経麻痺の診断は、まず問診と視診によって症状の現れ方や悪化の経過を確認し、神経学的検査で筋力や反射、感覚の変化を調べます。さらに、神経伝導速度検査や筋電図を用いて神経の損傷の程度や部位を特定します。場合によっては、MRIや超音波検査で腫瘍やガングリオンの有無を確認することもあります。

原因によっては整形外科だけでなく、神経内科、リハビリテーション科などとの連携も必要になるため、専門的な診断体制が重要です。

腓骨神経麻痺は障害年金の対象になることがある

腓骨神経麻痺が長期間にわたって改善せず、日常生活に著しい制限が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。障害年金の等級は、麻痺の程度や生活への影響度合いによって決定されます。たとえば足首の背屈が全くできず、装具や杖を使っても独力歩行が困難な場合、比較的高い等級に認定されることもあります。

ただし、障害年金の申請にはいくつかの要件があります。まず重要なのは「初診日」です。これは腓骨神経麻痺に関する診療を最初に受けた日を指し、後の等級認定や支給時期に大きく関わります。初診日を証明するためには、診療録や領収書などの証拠資料が必要になります。

続いて「障害認定日」は、原則として初診日から1年6か月を経過した日、またはその前に症状が固定し改善が見込めないと医師が判断した日となります。この時点の状態が、年金の等級を決める判断材料となります。

さらに、保険料納付要件も重要です。これは初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料を滞納していないか、または一定の期間に保険料が納付・免除されていたかどうかが判断基準となります。

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認定される等級と申請時の注意点

腓骨神経麻痺で障害年金が認定される場合、一般的には「肢体の障害」として評価されます。足関節の可動域制限や筋力の著しい低下があれば、等級認定の対象になります。等級は1級から3級まであり、日常生活での動作、歩行能力、自立度などが評価されます。

申請時には、医師の診断書に加え、「日常生活においてどれだけ制限があるか」を示す申立書の記述が非常に重要です。できるだけ具体的に、どの動作が困難で、どのような支援が必要かを明確に記す必要があります。また、回復の見込みがないことを医学的に示す記載も求められます。

まとめ:早期発見と制度の活用が生活の質を守るカギ

腓骨神経麻痺は、比較的身近な姿勢や外傷によっても引き起こされる神経障害です。放置すれば歩行機能が損なわれ、日常生活に大きな不便をきたすことになります。

症状が固定し、回復が見込めない状態になれば、障害年金という制度を通じて経済的な支援を受けることが可能です。早期の診断・治療に加え、制度の理解と適切な申請準備が生活の質を守るための重要な一歩となります。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われる生活補助金です。

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対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

障害年金に該当しているかどうか簡単に診断できるページがありますのでもし障害年金をもらえるかもと思った方は是非診断してみてください。

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目の傷病

白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変形症、両人工的無水晶体眼、眼球振盪症 など

聴覚

メニエール病、感音性難聴、突発性難聴 など

肢体

重症筋無力症、関節リュウマチ、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、人工股関節など

脳の傷病

脳卒中、脳出血 、脳梗塞など

精神

統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など

呼吸器疾患

気管支ぜん息、肺線維症、肺結核など

心疾患、高血圧

狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など

腎疾患、肝疾患、糖尿病

慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 など

その他

悪性新生物(ガン)、高次脳機能障害、化学物質過敏症、各種難病(強皮症、パーキンソン症候群)、その他難病など

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
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