歩けなくなる病気でも障害年金は受給できる?認定の考え方を解説

病気や体の異常によって「以前のように歩けなくなった」「歩行が不安定で外出が難しい」と感じたとき、仕事や生活だけでなく、将来のお金についても大きな不安を抱える方は少なくありません。

歩けなくなる病気は、原因や診断名がはっきりしないこともあり、「障害年金の対象になるのか分からない」と悩みやすい分野です。

本記事では、歩けなくなる病気が障害年金でどのように評価されるのか、認定の考え方や申請時のポイントを分かりやすく解説します。

目次

「歩けなくなる病気」とはどのような状態か

歩けなくなる病気といっても、その原因は一つではありません。
代表的なものには、次のような病気や障害があります。

・脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患
・パーキンソン病などの神経難病
・脊髄損傷や脊柱管狭窄症
・筋ジストロフィーなどの筋疾患
・関節リウマチや変形性関節症
・原因不明の歩行障害や機能性障害

病名が確定していなくても、歩行に支障が出ている事実が重要になります。

歩行障害が生活に与える影響

歩けなくなると、日常生活の多くの場面に影響が出ます。

・通勤や通院が困難になる
・買い物や外出に介助が必要になる
・家事や身の回りの動作に時間がかかる
・転倒への不安から行動範囲が狭くなる

これらの影響が長期間続く場合、生活の自立が難しくなります。

歩けなくなることで仕事に生じる問題

仕事への影響も非常に大きくなります。

・立ち仕事や移動を伴う業務ができない
・通勤そのものが難しい
・集中力が落ち、疲労が強く出る
・休職や退職を余儀なくされる

このように、歩けなくなる病気は、就労の継続を困難にする要因になりやすいです。

歩けなくなる病気は障害年金の対象になるのか

結論として、歩けなくなる病気によって日常生活や就労に制限がある場合、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金では、
・病名
・症状の重さ
・日常生活や仕事への影響

を総合的に見て判断されます。
病名よりも、「どれだけ生活が制限されているか」が重要です。

障害年金で評価されるポイント(肢体の障害)

歩行に関する障害年金では、次の点が重視されます。

・歩行の可否や安定性
・杖、歩行器、車いすの使用状況
・立ち上がりや移動の困難さ
・日常生活動作への影響

「少し歩ける」場合でも、実用的に歩行が困難かどうかが評価されます。

障害等級の考え方(目安)

障害等級2級が検討されるケース

・歩行が著しく困難で、常時介助や補助具が必要
・外出や日常生活に大きな制限がある
・就労がほぼ不可能な状態

自力歩行がほとんどできない場合などが該当しやすくなります。

障害等級3級が検討されるケース

・歩行に著しい制限があり、労働が困難
・長距離歩行や立ち仕事ができない
・配慮がなければ働けない

通勤や業務に制限がある場合に検討されます。

病名が確定していなくても申請できるのか

歩けなくなる病気の中には、原因がはっきりしないケースもあります。
しかし、診断名が完全に確定していなくても、申請自体は可能です。

重要なのは、
・症状が一定期間続いていること
・日常生活や就労に支障が出ていること

を医学的・客観的に示すことです。

診断書で重要になるポイント

歩行障害の障害年金では、診断書の内容が非常に重要です。

・歩行可能距離
・補助具の使用状況
・転倒リスク
・日常生活動作への影響

が具体的に記載されている必要があります。

病歴・就労状況等申立書で伝えるべきこと

診断書だけでは伝わりにくい生活の困難さは、
病歴・就労状況等申立書で補足します。

・外出時の不安
・通勤ができなくなった経緯
・できなくなった家事や動作

を具体的に書くことで、実態が伝わりやすくなります。

歩行補助具や車いすの使用は評価される

杖、歩行器、車いすなどを使用している場合、それは生活に支援が必要な状態であることの重要な証拠になります。

「使えば歩けるから大丈夫」と考えず、補助具がなければ生活が成り立たない実態を正しく伝えることが重要です。

歩けなくなったら早めに制度を確認する

歩行障害は、進行性の場合もあれば、改善と悪化を繰り返す場合もあります。
仕事や生活に支障が出ているなら、「まだ早い」と思わず、制度を確認することが大切です。

初診日や申請時期の整理も、障害年金では重要なポイントになります。

まとめ

歩けなくなる病気は、生活や仕事に大きな影響を与える障害です。
病名がはっきりしない場合でも、歩行に支障があり、日常生活や就労が制限されていれば、障害年金の対象となる可能性があります。

大切なのは、症状を我慢したり過小評価したりせず、生活の困難さを正しく伝えることです。制度を知り、必要に応じて専門家や支援機関に相談することで、生活を守る選択肢が広がります。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

>>眼の障害の受給事例はこちら

聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

>>精神障害の受給事例はこちら

呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

>>呼吸器疾患の受給事例はこちら

循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

>>循環器疾患の受給事例はこちら

腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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