

障害年金を受給している方が高齢になると、「老齢年金も受け取れるのだろうか?」という疑問を持つ方が少なくありません。年金制度は複雑で、障害年金と老齢年金の違いや関係性がわかりにくいため、誤解や思い込みで損をしてしまうこともあります。
この記事では、障害年金と老齢年金の基本的な違い、併給の可否、注意点について丁寧に解説します。
障害年金と老齢年金の違いを理解しよう
まず、障害年金と老齢年金は、どちらも公的年金制度に基づくものですが、支給の目的と基準が異なります。
障害年金は、病気やケガなどによって働くことが困難になった場合に支給される年金です。20歳以降に障害状態となった方が対象で、障害の等級(1級から3級)や加入していた年金制度(国民年金、厚生年金)によって「障害基礎年金」「障害厚生年金」に分かれます。
一方の老齢年金は、一定の保険料納付期間を満たした方が、原則として65歳から受け取ることができる年金です。長年の保険料の納付に対する給付という性格があり、「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」に分かれます。
このように、障害年金は「生活困難に対する保障」、老齢年金は「高齢期の生活保障」として位置づけられています。
障害年金と老齢年金は原則として併給できない
障害年金と老齢年金の両方に該当する場合、基本的にはどちらか一方の年金しか受け取ることができません。これは「一人一年金の原則」と呼ばれるルールで、同じ年金制度の中から2つの年金を同時に受け取ることはできない仕組みになっているためです。
たとえば、「障害基礎年金」と「老齢基礎年金」はどちらも国民年金から支給される年金であり、この2つを同時に受け取ることはできません。また、「障害厚生年金」と「老齢厚生年金」も同様に、厚生年金からの給付のため、併給することはできないのです。
異なる制度からの年金は併給可能な場合がある
例外として、異なる年金制度から支給される年金については、併給が認められることがあります。
たとえば、「障害基礎年金」と「老齢厚生年金」の組み合わせであれば、併給が可能です。これは、それぞれが別々の制度(国民年金と厚生年金)から支給されるため、同時に受け取ることができる仕組みになっています。
このようなケースでは、65歳以降も障害年金を受け取りながら、厚生年金に基づく老齢年金も追加で受給できるため、年金額が増えるという大きなメリットがあります。
併給できない場合はどちらか一方を選択する必要がある
一方で、「障害厚生年金」と「老齢基礎年金」のように、併給ができない場合には、どちらか一方を選択して受け取ることになります。一般的には、年金額が高いほうを選ぶことになりますが、障害年金には配偶者加給年金や子の加算がある場合があり、単純な金額だけでは判断が難しいケースもあります。
そのため、年金機構や専門の社会保険労務士に相談し、自分にとって最も有利な選択ができるようにしておくことが大切です。
60〜64歳の「特別支給の老齢厚生年金」との関係に注意
60歳から64歳の間に受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」がある方は、障害年金との関係に注意が必要です。この期間は、老齢年金と障害年金の両方に該当する場合でも、年金額の調整(支給停止)が発生することがあります。
たとえば、障害の等級が比較的軽度(2級や3級)の場合、老齢年金の一部または全額が支給停止になることがあります。このような調整は自動的に行われるため、自分の年金がどうなるのか不安な方は、早めに年金事務所に確認することが安心です。
65歳を過ぎたら自動で切り替わる?手続きは必要?
65歳を迎えると老齢年金の受給資格が発生しますが、障害年金との関係では選択が必要な場合もあります。すでに障害年金を受けている方は、そのまま受け続けるか、老齢年金に切り替えるかを選ぶことになります。
年金機構から送られてくる通知に従って手続きを行う必要がありますが、特に何もせずに障害年金の方が高い場合は、そのまま障害年金の受給が継続されるケースが多いです。どちらを選んだ方が有利なのかは、受給額だけでなく、加算の有無や税金の影響なども含めて総合的に判断する必要があります。
迷ったときは必ず相談を。損をしないための行動をしよう
障害年金と老齢年金の関係は非常に複雑で、制度の理解不足から「本来もらえるはずの年金を受け取っていなかった」という事例もあります。特に、障害年金を受け取っていても、65歳以降に自動で老齢年金に切り替わるわけではないため、注意が必要です。
年金制度の判断は個人の状況によって異なるため、疑問がある場合は、最寄りの年金事務所での相談をおすすめします。
制度を正しく理解し、自分にとって最も有利な選択をすることが、将来の安心につながります。
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