

視力に障害がある人が取得できる「身体障害者手帳(視覚障害)」は、福祉や医療の支援を受けるうえで重要な制度です。手帳の交付は矯正視力に基づいて判断され、視力の程度によって等級が決まります。
本記事では、等級ごとの視力基準や申請の注意点、視野障害との違いなどをわかりやすく解説します。
視覚障害者手帳とは?
視覚に障害があり、日常生活に支障をきたす場合、身体障害者手帳の「視覚障害」区分の交付を受けられます。この手帳があることで、医療費の助成や交通機関の割引、福祉機器の給付など、さまざまな支援制度が利用可能になります。
視覚障害には「視力障害」と「視野障害」の2種類があり、それぞれの程度に応じて1級から6級までの等級が定められています。
矯正視力が基準になる理由
視力の判定では、裸眼視力ではなく、眼鏡やコンタクトレンズなどで視力を補正した状態の「矯正視力」が基準とされています。仮に裸眼視力が非常に低くても、矯正によってある程度見えるようになる場合は、その矯正視力で判断されます。
医師による診断書にも、矯正後の最良の視力を明記することが求められています。
視力による等級の違い
視力障害の等級は、矯正視力がどれくらいかによって区別されます。以下は、法律で定められた等級基準です。
1級
両眼の矯正視力の和が0.01以下
2級
良い方の眼の矯正視力が0.02以下
3級
良い方の眼の矯正視力が0.03以下
4級
良い方の眼の矯正視力が0.06以下
5級
良い方の眼の矯正視力が0.08以下
6級
良い方の眼の矯正視力が0.1以下
これらの基準は、あくまで最低限の視力を示しており、日常生活への支障の度合いが総合的に考慮されます。
新基準では「良い方の目」で判断
2022年1月1日以降、視力障害の等級判定基準が一部変更されました。1級を除く2級から6級については、「良い方の眼の矯正視力」のみで判断されるようになりました。
この変更により、これまで対象外だった方が新たに手帳の交付対象になったり、すでに手帳を持っている方の等級が上がったりするケースがあります。ただし、等級の自動更新はされないため、変更を希望する場合は再認定の申請が必要です。
視野障害との違いにも注意
視力障害と並んで、視野障害も視覚障害者手帳の対象です。これは、視力自体は保たれていても、視野が狭くなっていたり、中心しか見えなかったりする場合に該当します。
例えば、緑内障や網膜色素変性症などで視野が極端に狭い場合、視野障害として手帳の対象となることがあります。視力障害と視野障害の両方を持っている場合は、より重い等級が認定されることがあります。
手帳の申請方法と流れ
手帳の申請は、まず眼科で視力検査を受け、身体障害者福祉法に基づく指定医による診断書を作成してもらうことから始まります。この診断書には、矯正視力の数値や眼の状態などが詳しく記載されます。
診断書を含めた必要書類を、住民票のある市区町村の福祉課などに提出します。申請が受理された後、自治体による審査が行われ、等級が認定されれば手帳が交付されます。
申請に必要な書類や流れは自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。
矯正視力での申請時に注意すべきこと
申請時には、眼鏡やコンタクトを装着した状態での視力が基準になります。もし普段使用していない矯正手段で一時的に視力が向上しても、それが実生活で使えないのであれば、診断書にその旨を記載してもらう必要があります。
また、疾患の進行によって視力がさらに低下した場合には、再度診断書を取り直し、等級変更の申請も可能です。
障害年金との違いと関係性
視力障害が一定以上に重い場合、障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)の対象になることもあります。ただし、障害者手帳と障害年金は全く別の制度で、基準や審査方法も異なります。
手帳の等級と年金の等級には直接的な関連性がないため、両方の制度を上手に活用することで、より多くの支援を受けられる可能性があります。必要に応じて社労士など専門家に相談するのが安心です。
まとめ
視力障害者手帳は、矯正視力に基づいて等級が決まる制度であり、等級によって受けられる支援内容が異なります。2022年の制度改正により、「良い方の眼」の視力で判断されるようになったため、対象になる人が広がっています。
視力に不安がある方や、以前申請を諦めた方も、あらためて医療機関で相談してみることをおすすめします。制度を正しく理解し、活用することで、より安心して生活を送ることができます。
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