くも膜下出血後の見えない障害「高次脳機能障害」と障害年金の申請方法

くも膜下出血は、突然発症する脳血管疾患で、命を取り留めたとしても後遺症が残ることが多い病気です。なかでも、見た目では分かりにくい「高次脳機能障害」は、本人にも家族にも深刻な影響を及ぼします。

このような障害が残った場合、障害年金を受け取れる可能性があります。この記事では、くも膜下出血が引き起こす高次脳機能障害の特徴と、障害年金との関係、申請時の注意点などについて詳しく解説します。

目次

高次脳機能障害とは?くも膜下出血との関連性

高次脳機能障害とは、記憶力や集中力、判断力、感情のコントロールなど、いわゆる「脳の働き」に関わる能力が損なわれる障害です。くも膜下出血では、出血によって脳の神経細胞が損傷されることで、この障害が引き起こされることがあります。

たとえば、「同じことを何度も聞く」「会話がうまく続けられない」「段取りが組めない」「感情が不安定になる」といった症状が現れることがあります。身体的な麻痺と異なり、見た目では分かりにくいため、周囲の理解が得られにくいのがこの障害の大きな特徴です。

高次脳機能障害の主な症状と生活への影響

くも膜下出血後の高次脳機能障害には、次のような症状が見られます。

記憶障害

新しいことを覚えられず、何度も同じ質問を繰り返す

注意障害

集中が続かず、複数の作業がこなせない

遂行機能障害

計画や段取りができず、仕事や家事がうまく進まない

社会的行動障害

感情のコントロールが難しく、怒りやすくなる

・識の欠如

自分が障害を抱えていることを理解できない

これらの症状により、仕事の継続や復職が難しくなるほか、家庭生活においてもトラブルが増える傾向があります。支援や介助が必要になることも多く、日常生活に支障が出ることで、経済的・精神的な負担が大きくなります。

高次脳機能障害と障害年金の対象基準

高次脳機能障害は、障害年金の対象となる「精神の障害」として認定されることがあります。特にくも膜下出血が原因の場合、診断から6か月以上経過し症状が固定していれば、1年6ヶ月を待たずに障害年金を申請できる特例があります。

障害年金の等級は、日常生活能力の程度や就労可能性に基づいて判断されます。たとえば、次のような基準が参考にされます。

2級

日常生活に著しい制限があり、常に援助が必要な状態

3級

労働が著しく制限され、一定の援助が必要な状態

高次脳機能障害は、外見ではわかりづらいため、診断書には「日常生活能力の判定」や「具体的な支障」の記述が特に重要になります。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

障害年金申請時の注意点と対策

高次脳機能障害で障害年金を申請する際には、以下のポイントを押さえておく必要があります。

初診日の証明

くも膜下出血で受診した医療機関の記録を取り寄せておく

診断書の内容

精神の障害用の診断書で、高次脳機能障害の影響を具体的に記載してもらう

生活状況の記録

日常生活での困難や家族による介助の内容などを記録し、申立書に反映させる

特に高次脳機能障害では、「自覚がない」「自分では問題ないと思っている」ことが多いため、家族や支援者による客観的な記録が非常に重要です。

医師や専門家との連携が鍵になる

診断書の内容次第で、等級や受給の可否が大きく左右されるため、主治医との連携が不可欠です。また、障害年金に詳しい社会保険労務士などの専門家に相談することで、申請書類の準備がスムーズになり、受給できる可能性が高まります。

誤った書類の提出や情報の不足があると、正当に受給できないこともあるため、早い段階での準備とサポート体制が重要です。

まとめ:高次脳機能障害でも障害年金を諦めない

くも膜下出血による高次脳機能障害は、外からは見えにくく、理解されにくい障害です。しかし、記憶力や判断力、感情面での問題は、生活のあらゆる場面で支障をきたし、働くことも難しくなることがあります。このような状況において、障害年金は大きな支援となります。

正しい知識と準備をもって手続きを進めれば、高次脳機能障害でも障害年金を受給することは可能です。一人で抱え込まず、医師や専門家の協力を得ながら、前向きに制度の活用を目指しましょう。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

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聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

>>精神障害の受給事例はこちら

呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

>>呼吸器疾患の受給事例はこちら

循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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