キアリ奇形で障害年金は受給できる?症状別の認定基準と申請ポイント

キアリ奇形と診断され、慢性的な頭痛やしびれ、ふらつき、歩きにくさなどに悩まされている方の中には、「この状態で障害年金は対象になるのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。キアリ奇形は画像検査で確認できる一方、症状の出方に個人差が大きく、見た目では分かりにくい障害です。

そのため、障害年金の判断が分かりにくい病気の一つでもあります。

本記事では、キアリ奇形と障害年金の関係について、認定の考え方や申請時のポイントを分かりやすく解説します。

目次

キアリ奇形とはどのような病気か

キアリ奇形とは、小脳の一部(小脳扁桃など)が本来ある位置よりも下方へ下がり、脊柱管内に入り込む状態を指します。
先天性の場合が多いですが、後天的に発症するケースもあります。

画像検査(MRI)で診断されることが多く、
・キアリ奇形Ⅰ型
・キアリ奇形Ⅱ型

などの分類があります。

キアリ奇形でよく見られる症状

キアリ奇形の症状は多岐にわたります。

・慢性的な頭痛(特に後頭部)
・首や肩の痛み
・手足のしびれや脱力
・歩行障害、ふらつき
・めまい、吐き気
・嚥下障害、発声のしづらさ

症状が軽い人もいれば、日常生活に大きな支障が出る人もおり、個人差が非常に大きい病気です。

脊髄空洞症を合併するケースもある

キアリ奇形では、脊髄空洞症を合併することがあります。
この場合、

・感覚障害
・筋力低下
・巧緻動作の障害

などが進行しやすく、障害の程度が重く評価される可能性があります。

キアリ奇形が日常生活に与える影響

症状が進行すると、日常生活にも次のような影響が出ます。

・長時間立っていられない
・家事を続けると体調が悪化する
・外出時に転倒の不安がある
・集中力が続かない

痛みやしびれは外見から分かりにくく、周囲に理解されにくい点も大きな負担になります。

仕事への影響

就労面では、次のような困難が生じやすくなります。

・デスクワークでも頭痛が悪化する
・立ち仕事や移動を伴う業務ができない
・作業ミスが増える
・休職や退職に追い込まれる

「検査では異常が軽いと言われたのに、働けない」というギャップに苦しむ方も少なくありません。

キアリ奇形は障害年金の対象になるのか

結論として、キアリ奇形そのものが自動的に障害年金の対象になるわけではありません。
重要なのは、

・どのような神経症状があるか
・日常生活や就労にどの程度の制限があるか

です。

キアリ奇形は、障害年金上は主に神経系疾患による障害として評価されます。

障害年金で評価されるポイント

キアリ奇形の障害年金では、次の点が重視されます。

・運動機能の低下(歩行、手の動き)
・感覚障害の程度
・日常生活能力
・就労の可否

画像所見の重さよりも、実際の生活への影響が重要です。

障害等級の考え方(目安)

障害等級2級が検討されるケース

・歩行に常時支障がある
・日常生活に援助が必要
・就労がほぼ不可能

重度の歩行障害や神経症状がある場合が該当しやすくなります。

障害等級3級が検討されるケース

・労働に著しい制限がある
・配慮がなければ働けない
・長時間の作業ができない

一般就労が難しい状態が目安になります。

手術を受けていても対象になるのか

キアリ奇形では、減圧手術などが行われることがあります。
しかし、手術後も症状が残っている場合は、障害年金の対象になる可能性があります。

「手術をした=治った」とは限らない点が重要です。

診断書で重要になるポイント

キアリ奇形の障害年金では、診断書の内容が非常に重要です。

・歩行や手指の動作の状態
・痛みやしびれの影響
・日常生活の制限
・就労制限の有無

単に「キアリ奇形」と書かれているだけでは不十分です。

病歴・就労状況等申立書で補足すべきこと

申立書では、次のような点を具体的に書くことが大切です。

・症状が悪化する場面
・できなくなった仕事や家事
・退職や休職に至った経緯

「痛い」「つらい」だけでなく、何ができないかを具体化することがポイントです。

申請を検討すべきタイミング

・症状が慢性的に続いている
・生活や仕事に明確な支障がある
・改善の見込みが乏しい

このような場合は、「まだ早い」と思わず、制度を確認することが大切です。

まとめ

キアリ奇形は、画像所見だけでは判断されにくい、見えにくい障害です。
障害年金では、病名よりも神経症状による生活・就労への影響が重視されます。

痛みやしびれ、歩行障害によって生活が制限されている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
一人で悩まず、制度を知り、必要に応じて専門家や支援機関に相談することが、生活を守る一歩につながります。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

>>眼の障害の受給事例はこちら

聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

>>精神障害の受給事例はこちら

呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

>>呼吸器疾患の受給事例はこちら

循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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