足を切ると障害年金はもらえる?下肢切断の認定基準を解説

事故や病気により足を切る(下肢切断)ことになった場合、身体的なショックだけでなく、「これからの生活はどうなるのか」「仕事は続けられるのか」「障害年金は受け取れるのか」といった強い不安を抱える方は少なくありません。

足の切断は外見からも分かりやすい障害である一方、義足を使えば働けるのではないかと誤解されやすい面もあります。

本記事では、足を切断した場合に障害年金がどのように判断されるのか、等級の考え方や申請時の注意点を分かりやすく解説します。

目次

足を切る(下肢切断)とはどのような状態か

足を切るとは、病気や外傷などにより下肢の一部または全部を切断することを指します。
原因としては、交通事故や労災事故、糖尿病の合併症、がん、重度の感染症などが挙げられます。

切断部位によって、
・大腿切断(太ももから切断)
・下腿切断(膝下から切断)
・足関節・足趾切断

などに分類され、障害年金の判断にも影響します。

下肢切断が生活に与える影響

足を切断すると、移動能力が大きく制限されます。

・自力歩行が難しい
・階段や段差の昇降が困難
・長時間の立位や歩行ができない
・転倒への不安が常につきまとう

義足を使用していても、疲労や痛み、皮膚トラブルが生じることが多く、切断前と同じ生活を送ることは困難な場合が少なくありません。

足の切断が仕事に与える影響

仕事への影響も非常に大きくなります。

・立ち仕事や移動を伴う業務ができない
・通勤が大きな負担になる
・安全配慮が必要な作業ができなくなる
・配置転換や退職を余儀なくされる

特に、現場作業、運転業務、長時間立つ仕事では、就労継続が難しくなるケースが多く見られます。

足を切った場合、障害年金は受給できるのか

結論として、足を切断した場合、障害年金の対象となる可能性は非常に高いといえます。
下肢切断は、障害年金において明確な認定基準が設けられている障害です。

重要なのは、
・切断の部位
・日常生活や就労への影響

です。

障害年金における下肢切断の等級の考え方

障害等級2級が検討されるケース

・両下肢を切断した場合
・片下肢を大腿部で切断した場合

これらは、原則として2級に該当します。
日常生活に著しい制限があり、就労も困難な状態と評価されます。

障害等級3級が検討されるケース

・片下肢を下腿部(膝下)で切断した場合

この場合、原則として3級に該当します。
労働に著しい制限があると判断されるケースです。

義足を使用している場合の評価

「義足を使えば歩けるから障害年金は不利になるのでは」と心配される方もいますが、義足を使用していること自体は不利にはなりません。

障害年金では、
・義足がなければ歩行できない
・義足使用時でも制限がある

という実態が評価されます。

症状固定と申請のタイミング

下肢切断の場合、切断手術を行った時点で、症状固定と判断されることが一般的です。
そのため、切断後、一定期間が経過すれば障害年金の申請が可能になります。

早めに制度を確認し、初診日や必要書類を整理することが重要です。

診断書で重要になるポイント

下肢切断の障害年金では、診断書に次の点が記載されていることが重要です。

・切断部位と範囲
・義足の使用状況
・歩行能力や移動能力
・日常生活への影響

医学的事実が正確に書かれていることが、認定の前提になります。

病歴・就労状況等申立書で伝えるべきこと

診断書だけでは伝わらない部分は、病歴・就労状況等申立書で補足します。

・切断後にできなくなったこと
・仕事を続けられなくなった理由
・日常生活で困っている場面

を具体的に書くことで、生活への影響がより伝わりやすくなります。

足を切った場合に注意すべき誤解

よくある誤解として、
「義足で歩ける=問題ない」
「見た目がはっきりしているから説明はいらない」

という考えがあります。しかし実際には、義足使用の負担や制限は、外見からは分かりにくいものです。

早めの相談が重要な理由

下肢切断は、人生に大きな影響を与える出来事です。
障害年金は、生活を支える重要な制度であり、早めに確認することで安心につながります。

初診日や手続きの整理を誤ると、不利になることもあるため、必要に応じて専門家や支援機関に相談することも検討しましょう。

まとめ

足を切る(下肢切断)という障害は、障害年金の認定基準が比較的明確な障害です。
切断部位や生活への影響に応じて、障害等級2級または3級に該当する可能性があります。

大切なのは、「義足があるから大丈夫」と過小評価せず、実際の生活や就労の困難さを正しく伝えることです。
制度を正しく理解し、生活を守る選択肢として障害年金を活用することが重要です。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

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聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

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呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

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循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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