ICD-10とは?障害年金の認定でどう使われているのかを解説

障害年金の申請を考えたとき、診断書に記載されている「ICD-10」というコードを目にして戸惑う方は少なくありません。「ICD-10の診断名があれば障害年金はもらえるのか」「コードが違うと不利になるのでは」と不安になることもあるでしょう。

しかし、障害年金の認定はICD-10の有無だけで決まるものではありません。

本記事では、ICD-10とは何か、障害年金の審査でどのように扱われているのかを、実務の視点から分かりやすく解説します。

目次

ICD-10とは何か

ICD-10とは、世界保健機関(WHO)が定めた国際疾病分類の第10版です。
病気や障害を共通のルールで分類するためのコード体系で、医療機関では診断名の整理や統計、診療報酬の管理などに使用されています。

例えば、
・うつ病
・統合失調症
・心不全
・脳梗塞

といった病名には、それぞれICD-10のコードが割り当てられています。

障害年金とICD-10の関係

障害年金の診断書には、病名とあわせてICD-10コードが記載されることがあります。そのため、「ICD-10が障害年金の審査に大きく影響するのでは」と思われがちです。

しかし、障害年金はICD-10のコードそのものを基準に支給・不支給を判断する制度ではありません。
あくまで、病気や障害によって「日常生活や労働にどの程度の支障が出ているか」が重視されます。

ICD-10が果たす役割とは

ICD-10は、障害年金において次のような役割を果たしています。

・診断名を客観的に整理する
・どの認定基準(精神・肢体・内部など)を適用するかの参考
・審査側が病気の位置づけを把握するための補助情報

つまり、ICD-10は「判断材料の一つ」であり、「結論を決める要素」ではありません。

ICD-10の診断名があっても不支給になる理由

「ICD-10が付いている=障害年金がもらえる」と誤解されることがありますが、実際には不支給となるケースもあります。

その理由の多くは、
・日常生活への影響が軽い
・就労制限が十分に伝わっていない
・診断書の内容が抽象的

といった点にあります。
ICD-10の診断名があっても、生活能力や労働能力の低下が書類上で示されていなければ、認定にはつながりません。

ICD-10がなくても申請はできる

逆に、「診断書にICD-10が書かれていないと申請できないのでは」と心配する方もいます。しかし、ICD-10の記載がなくても障害年金の申請は可能です。

重要なのは、
・症状の内容
・その症状がどれくらい続いているか
・生活や仕事への具体的な影響

が、診断書や申立書で適切に示されていることです。

精神障害とICD-10の扱い

精神障害の障害年金では、ICD-10上の診断名(Fコード)が記載されることが一般的です。ただし、審査では診断名よりも日常生活能力の程度が重視されます。

例えば、
・うつ病(F32)
・双極性障害(F31)

といった診断名が同じでも、生活状況によって等級判断は大きく異なります。

内部障害・肢体障害とICD-10

心疾患や呼吸器疾患、脳血管障害などの内部障害や肢体障害でも、ICD-10は参考情報として使われます。

ただし、これらの分野では、
・検査数値
・可動域
・運動耐容能(メッツなど)

といった客観的指標と、生活への影響を組み合わせて総合判断されます。

診断書作成で意識すべきポイント

障害年金の申請では、ICD-10の記載そのものよりも、次の点が重要です。

・症状がどの程度重いか
・日常生活で何ができないか
・どのくらい支援が必要か
・就労にどんな制限があるか

これらが具体的に書かれていることで、ICD-10の診断名が実態と結びついて評価されます。

病歴・就労状況等申立書で補足する

ICD-10だけでは表現しきれない生活の困難さは、病歴・就労状況等申立書で補足します。

・発症から現在までの経過
・生活能力の変化
・働けなくなった理由

を時系列で整理することで、審査側が状況を理解しやすくなります。

ICD-10に振り回されないことが大切

ICD-10は便利な分類ですが、それだけで障害年金の可否が決まるわけではありません。
「コードが軽そうだから無理」「診断名が違うからダメ」と自己判断してしまい、本来受給できる可能性を逃してしまう方もいます。

障害年金は、生活と仕事の困難さを支える制度です。ICD-10はその説明を補助するものにすぎません。

まとめ

ICD-10は、障害年金の診断書に記載されることが多いものの、認定を決定づける絶対条件ではありません。
障害年金では、病名やコードよりも、日常生活や労働への影響が重視されます。

ICD-10に過度にとらわれず、自身の生活状況を正しく伝えることが、適切な認定への近道となります。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

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聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

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呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

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循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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