

視力が弱く、強度近視などでコンタクトの度数が高い方の中には、「視力障害者手帳がもらえるのでは?」と考える方も少なくありません。しかし、実際には単に視力が悪いというだけでは手帳は交付されず、一定の条件があります。
本記事では、視力障害者手帳の基準と、コンタクトレンズの度数がどのように関係するかを詳しく解説します。
視力障害者手帳とは?どんな人が対象になるのか
視力障害者手帳(身体障害者手帳)は、視力や視野に障害がある人が福祉的支援を受けられるように交付される手帳です。交付を受けることで、障害者割引や助成制度、所得税の控除、医療費補助など、さまざまな支援を受けることが可能になります。
対象となるのは、視力が一定の基準を下回る人、または視野に重大な障害がある人です。つまり、単に視力が悪いというだけではなく、「矯正視力を含めた視力や視野の障害の程度」が手帳交付の判断材料になります。
コンタクトレンズの度数と視力障害者手帳の関係性とは?
多くの人が誤解しがちですが、視力障害者手帳の審査において重要なのは「裸眼視力」ではなく、「矯正視力」です。これは、眼鏡やコンタクトレンズを装着した状態で測定される視力のことを指します。
つまり、コンタクトの度数が強い(たとえば−8.00Dや−10.00Dなど)からといって、必ずしも手帳の対象になるとは限りません。なぜなら、強い度数でもしっかり視力が補正され、0.5や0.7といった視力が出ていれば、視力障害とまでは認定されないからです。
手帳の交付は、「矯正してもなお視力が非常に低い」または「視野が極端に狭い」場合に限られます。逆にいえば、どれだけ強い近視であっても、コンタクトをすれば日常生活が問題なく送れるレベルの視力が出るのであれば、制度上は障害とは見なされません。
視力障害者手帳の交付基準とは?
視力障害の手帳交付は、厚生労働省が定めた等級表に基づき、自治体が審査を行います。ここで判断されるのは「矯正視力」もしくは「視野障害の程度」です。
たとえば、視力に関する等級の一例をあげると以下のようになります。
1級
両眼の矯正視力が0.01以下、または全盲
2級
両眼の矯正視力が0.02以下、または一方が全盲でもう一方が0.02以下
3級
両眼の矯正視力が0.04以下
4級
両眼の矯正視力が0.05〜0.1程度
このように、基準は非常に厳しく設定されています。「見えにくい」「運転免許が取れない」といったレベルでは、必ずしも手帳交付の対象にはなりません。
また、視野については「中心から10度以内にかけての範囲しか見えない」「視野が左右10度未満」などが基準となり、視力と同様に重要視されます。
コンタクトを装着した状態での視力がすべての鍵
繰り返しになりますが、視力障害者手帳の交付においては、コンタクトレンズや眼鏡を装着した状態での「最良視力」が審査対象になります。そのため、度数の強さよりも、「その度数でどれだけ見えるか」がすべてです。
たとえば、−12.00Dのコンタクトを使っても視力が0.5程度出ていれば、手帳交付は見込めません。逆に、角膜の病気や網膜疾患などにより、いくら矯正しても視力が0.05しか出ない場合は、手帳の等級対象になる可能性があります。
つまり、「矯正できない見えにくさ」があるかどうかがカギなのです。
申請の流れと必要な手続きについて
視力障害者手帳の申請は、お住まいの自治体(市区町村)で行います。申請にあたっては、以下のような流れになります。
- 眼科での診断・視力検査:矯正視力・視野の測定を含む
- 指定医による診断書の作成:手帳申請用の様式が必要
- 市区町村役所の福祉課などで申請手続き
- 審査のうえ交付決定(数週間〜1か月程度)
申請時に必要なのは、診断書・印鑑・本人確認書類・写真などです。事前に市役所の福祉窓口に問い合わせて、必要な書類を確認するのがおすすめです。
視力が悪くても対象外になるケースとは?
非常に強い近視で、裸眼ではまったく見えないという方も少なくありません。しかし、コンタクトや眼鏡を使って0.3〜0.7程度の視力が出ている場合、それは「矯正可能な視力低下」と見なされ、手帳の対象にはなりません。
特に、若年層でスマホやPCの使用によって視力が落ちたと感じている方でも、矯正すれば日常生活に支障がない場合は障害とは認定されません。
まとめ:手帳の基準は“度数”ではなく“矯正後の見え方”
視力障害者手帳の対象かどうかは、「コンタクトレンズの度数が強いかどうか」ではなく、「矯正視力が一定基準を下回るかどうか」が判断基準となります。
視力に不安がある方、見えにくさが日常生活に支障をきたしている方は、まずは信頼できる眼科で詳細な検査を受けましょう。その上で、手帳の交付対象かどうかを相談し、必要であれば申請手続きを進めていくことが大切です。
また、視力障害が進行して働くことが困難になった場合は、「障害年金」の対象になる可能性もあります。障害年金は、日常生活や就労に制限がある方を対象とした国の制度で、視覚障害も重要な認定項目です。視力や視野の状態、生活の影響をもとに等級が決まり、障害者手帳とは別に申請が可能です。
目に見えない不便さを可視化し、正しく支援を受けるためにも、視力障害者手帳と障害年金という2つの制度を理解し、必要に応じて活用していきましょう。
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