寛解状態でも障害年金はもらえる?制度のしくみと申請のポイントを解説

病気の症状が落ち着いている「寛解状態」にあると、障害年金の対象外になるのではと不安に思う方も多いかもしれません。しかし、寛解していても生活に制限や困難が残っていれば、障害年金を受け取れる可能性はあります。

本記事では、寛解状態の意味と、障害年金との関係、申請時の注意点についてわかりやすく解説します。

目次

寛解状態とはどういう状態か?

寛解とは、病気の症状が一時的あるいは長期間にわたって落ち着いており、日常生活に大きな支障がない状態を指します。治癒したわけではなく、再発や悪化の可能性が残る安定期です。

精神疾患では気分が安定し、通院や服薬を続けながら生活できるようになった状態を指すことが多く、がんや難病でも治療が奏功して経過観察に入る段階が寛解とされます。

寛解中でも障害年金を受け取れる理由

障害年金の審査では、病名そのものではなく、現在の生活への影響が重視されます。たとえ寛解中であっても、就労や家事、外出などに困難を伴う場合や、症状の再発リスクが高く、薬の副作用や疲労により日常生活が制限されている場合は、障害状態として評価される可能性があります。症状が目立たなくても、生活上で支援が必要であれば、審査対象になります。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

障害年金の申請に必要な基本条件

障害年金の申請には、初診日が特定できること、保険料を一定期間納付していること、障害認定日に一定の障害状態にあること、そして申請時にも障害が継続していることが求められます。

寛解中でも、これらの条件を満たし、生活に支障があると認められれば、年金が支給される可能性があります。

審査を左右する診断書の書き方に注意

主治医が作成する診断書は、審査の中核となる書類です。ここに「寛解」とだけ書かれてしまうと、「治った」と誤解されるリスクがあります。そこで、安定状態を保つために薬の服用が欠かせないことや、日常生活に困難が残っていることを、できるだけ具体的に記載してもらうことが重要です。

例えば、外出が困難、就労に耐えられない、通院が継続しているといった情報が重要視されます。

障害等級と寛解中の判断基準

障害年金には1級から3級までの等級があり、1級は常時介助が必要な重度の障害、2級は日常生活に大きな制限がある場合、3級は労働に支障がある状態を想定しています。寛解中であっても、これらの基準に該当すれば年金を受け取ることが可能です。

症状が落ち着いているように見えても、生活が制限されていれば、該当する等級に認定される可能性は十分にあります。

更新審査時の注意点と伝え方の工夫

障害年金は、多くの場合で定期的な更新が求められます。審査の際に「良くなった」とだけ伝えると、支給が停止されたり、等級が下がる可能性があります。

そのため、「症状は落ち着いているが完治ではない」「通院や服薬を継続しなければ悪化する可能性がある」といった事実を正確に伝えることが大切です。医師にも同様に伝え、診断書に反映してもらうようにしましょう。

病歴・就労状況等申立書で生活実態を補足する

診断書だけでは伝わらない日常の困難さは、自分で作成する病歴・就労状況等申立書で丁寧に説明することが求められます。生活リズムの乱れ、体力の低下、継続的な就労ができないといった日々の様子を、自分の言葉で具体的に記載しましょう。

これにより、診断書との整合性が生まれ、審査側にも実情が伝わりやすくなります。

まとめ:寛解中でもあきらめずに申請を検討しよう

寛解状態は病気が治ったことを意味するわけではありません。見た目に症状が分かりにくくても、生活に支障がある場合は障害年金の対象になります。審査においては、現実の生活の困難さを正しく伝えることが鍵となります。

自身の状態に不安がある場合は、医師や社労士などの専門家に相談しながら、申請を検討してみることをおすすめします。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

>>眼の障害の受給事例はこちら

聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

>>精神障害の受給事例はこちら

呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

>>呼吸器疾患の受給事例はこちら

循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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