

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、不注意や多動・衝動性といった特性が日常生活や社会生活に影響を及ぼす神経発達障害です。子どものころから症状が見られ、大人になっても続くことが多く、学業・仕事・人間関係などで困難が生じます。これらの困難が著しい場合、障害年金の受給対象となることがあります。
本記事では、ADHDの原因や症状の概要、そして障害年金の申請条件や注意点を詳しく解説します。
ADHDの原因
ADHDの明確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、脳内の神経伝達物質、特にドパミンやノルアドレナリンの働きが関与していると考えられています。これらの物質は注意力や衝動のコントロールに関係しており、その機能が十分に働かないことで特有の行動や思考パターンが現れます。
また、遺伝的要因も無視できず、家族にADHDの傾向が見られるケースも多く報告されています。さらに、脳の一部の構造や活動パターンに差異があることも、近年の脳画像研究で明らかになってきています。
ADHDの主な症状
ADHDの症状は大きく「不注意」と「多動・衝動性」に分けられます。不注意型では、集中力が続かず、物事をやり遂げる前に別のことに気を取られる、必要な物をよく失くす、約束や期限を守れないといった傾向が目立ちます。
一方、多動・衝動性が強い場合は、落ち着いて座っていられない、思いついたことをすぐに行動に移す、順番を待つことが難しいなどの行動がみられます。これらは12歳以前から見られることが多く、家庭や学校、職場など複数の環境で支障をきたすことが診断の条件となります。大人になっても症状が続く場合、職務遂行能力や対人関係に長期的な影響を及ぼします。
障害年金の対象となる可能性
ADHDは、その症状が軽度であれば障害年金の対象とはなりません。しかし、日常生活や就労に著しい支障があり、社会的な自立が困難な場合には、障害年金の支給対象となることがあります。
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、初診日の加入状況によって受給できる種類が決まります。国民年金の加入期間中に初診日がある場合は障害基礎年金、厚生年金の加入期間中であれば障害厚生年金の対象となります。
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受給のための条件
障害年金を受け取るには、初診日、保険料納付状況、障害の程度という三つの条件を満たさなければなりません。初診日とは、ADHDに関する症状で初めて医療機関を受診した日を指し、初診日に何の年金に入ったかによって決まります。初診日が厚生年金だったら障害厚生年金、初診日が国民年金だったら障害基礎年金になります。
保険料納付状況は、一定期間以上保険料を納めているか、直近1年間に未納がないことが求められます。そして障害の程度は、障害認定基準に基づき日常生活や就労への影響度で判断され、1級から3級までの等級があります。ADHD単独でも等級が認定されるケースは存在しますが、認定を受けるには詳細な日常生活の困難さを証明する必要があります。
診断書と申立書の重要性
障害年金の申請において最も重要なのが、医師の診断書と病歴・就労状況等申立書です。診断書には、症状の内容や程度、日常生活における困難さが具体的に記載されます。申立書では、家庭での生活や仕事の様子、支援の必要性などを本人の視点で詳しく書きます。
この二つの内容が一致していない場合、申請が不利になることもあります。日常生活で困っている具体的な事例を時系列で記録し、それを基に医師に説明することが望まれます。
申請における注意点
初診日を証明する書類がない場合や、通院歴が断続的である場合、申請が難しくなることがあります。また、ADHD以外の精神疾患を併発している場合でも、それが必ずしも有利になるわけではなく、全体としての生活能力の程度で評価されます。申請前に、専門の社会保険労務士や障害年金の相談窓口で事前確認を行うことが、受給の可能性を高めるために有効です。
まとめ
ADHDは脳の神経発達に関する障害であり、単なる性格の問題ではありません。症状が日常生活や仕事に深刻な影響を与えている場合、障害年金を受給できる可能性があります。そのためには、初診日の証明や診断書、申立書の内容が重要となり、日頃から困難な状況を記録しておくことが大切です。専門家と連携し、適切な準備を行うことで、より確実に申請を進められます。
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