人工透析で腕にシャントを作ったら障害年金はもらえる?受給条件と生活への影響

人工透析を受ける人にとって、腕に作るシャントは欠かせない医療処置です。このシャントの存在は、透析治療の継続と生活への制限を意味し、障害年金の受給対象にも関係します。

この記事では、人工透析のためのシャントと障害年金の関係、申請のポイントについて詳しく解説します。

目次

人工透析とシャントの関係|なぜ腕に作るのか

人工透析は、腎機能が著しく低下した患者にとって生命維持に欠かせない治療法であり、血液透析を行うには血流を確保する「シャント」の造設が必要です。日本では多くの場合、前腕に動脈と静脈をつなぐ「内シャント(自己血管)」が作られます。シャントがうまく機能していなければ透析が行えず、身体的・社会的な制約が大きくなります。これにより、障害年金制度においては日常生活能力への影響が重視され、受給の対象となります。

腕にシャントを作ることで受ける生活上の影響

シャントを造設した腕は、透析ごとに穿刺を繰り返すため、日常生活では特別な注意が必要になります。シャント側の腕では血圧測定や採血ができず、重い物を持ったり腕枕をしたりすることも避ける必要があります。また、圧迫や怪我を防ぐため、衣服や時計、バッグの扱いにも気を配らなければなりません。こうした制限は生活や仕事のスタイルに影響し、身体機能の一部制限と見なされることがあります。

人工透析と障害年金の関係|原則2級に認定される理由

人工透析を受けている場合、障害年金の認定基準において「腎疾患による人工透析継続」は、原則として障害等級2級に該当します。これは週3回、1回あたり4〜5時間に及ぶ透析を続けなければならず、就労や日常生活に大きな制限がかかるためです。

また、透析に必要なシャントが腕に存在し、日常的な管理や合併症のリスクがあることも、生活機能の制約として考慮されます。

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障害年金を受け取るための要件と手続き

障害年金を申請するには、初診日・保険料納付・障害認定日の3要件を満たす必要があります。初診日とは、腎不全などの原因疾患で最初に医師の診察を受けた日であり、その時点での保険料納付状況が審査されます。

そして、障害認定日は透析開始から3ヶ月経過後、もしくは初診日から1年6ヶ月経過した日とされます。医師の診断書や透析状況の証明が必要で、シャントの存在も医療的証拠として反映されます。

腕のシャントが障害年金等級に影響する可能性

シャントによる生活の制限が著しい場合、例えばシャントの閉塞や感染による再手術、合併症の影響で日常生活動作が困難なケースなどは、2級以上の評価が見込まれることがあります。

また、透析以外にも糖尿病性網膜症や心疾患などの合併症を抱えている場合は、これらを含めた「総合評価」によって1級の可能性もあります。腕のシャントそのものが評価されるわけではなく、あくまで透析の継続性とそれに伴う制限がポイントとなります。

初診日の証明が困難な場合の対処法

障害年金申請で壁となるのが、初診日の証明です。長年前の受診で記録がない場合、当時の診療所や病院が閉院していることもあります。

その際は、「受診状況等証明書が添付できない理由書」や、本人の申立書、健康診断の記録、処方薬の履歴などを補足資料として提出する方法があります。シャントの造設日や透析開始日が記載された診療明細書も有効な資料となります。

まとめ|シャントと障害年金は密接に関係している

人工透析のために腕に作られるシャントは、透析を継続する上で欠かせない存在であり、その影響は障害年金制度にも反映されています。透析治療の継続性と生活への影響、さらには腕の制限が認定の根拠となるため、対象となる方は早めに制度の内容を確認し、必要な手続きを進めることが重要です。

正確な情報と証明書類を整えることで、将来の生活の安定に役立てることができます。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

>>眼の障害の受給事例はこちら

聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

>>聴覚、平衡機能の障害の受給事例はこちら

鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

>>肢体の障害の受給事例はこちら

精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

>>精神障害の受給事例はこちら

呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

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循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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血液再生不良性貧血、溶血性貧血、血小板減少性紫班病、凝固因子欠乏症、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形性症候群、HIV感染症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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