

医療機関での診療記録、いわゆる「カルテ」は、患者の診療歴を記録する大切な書類です。しかし、一定の保存期間を過ぎたカルテは法的に破棄が可能とされており、実際に初診日を証明する手段としてのカルテが存在しないケースもあります。
特に障害年金の請求などで初診日の証明が必要な場合、カルテが破棄されていると手続きが困難になることがあります。
では、カルテが破棄されてしまった場合、初診日をどのように証明すれば良いのでしょうか?
カルテの保存義務と現実的な取り扱い
医療機関には、診療録(カルテ)を5年間保存する義務があります(医師法第24条)。この期間を過ぎると、法的には破棄が可能です。
つまり、例えば10年前に受診した病院に問い合わせても、すでにカルテが残っていない可能性は十分にあります。このような場合でも、患者側としては初診日を証明しなければならない場面が多々あります。
特に、障害年金の申請においては、障害の原因となった傷病の初診日が年金受給の可否や金額に大きく影響するため、非常に重要です。
カルテ以外で初診日を証明する方法
カルテがない場合でも、他の資料や証言をもとに初診日を証明する方法はあります。以下に主な代替手段を紹介します。
受診状況等証明書の取得
医療機関がカルテを廃棄していた場合でも、「受診状況等証明書」に「カルテは廃棄済み」と明記してもらうことで、初診日が確認できなかった事実を証明することができます。これにより、次の手続きに進むことが可能になります。
他院の紹介状や診療情報提供書
初診時に他院からの紹介で受診していた場合、その紹介状の日付が初診日の証明に繋がることがあります。また、診療情報提供書が残っている場合も有力な証拠となります。
健康保険の診療報酬明細書(レセプト)
保険証を使って受診していた場合、診療報酬明細書(レセプト)が健康保険組合や協会けんぽ等に残っていることがあります。これを取り寄せることで、受診日を確認できる可能性があります。
薬局の調剤記録
病院で処方された薬を受け取った薬局が、調剤記録を保管していることがあります。調剤記録の中に日付が記録されていれば、間接的に初診日の証明に役立ちます。
本人や家族の申立書と第三者の証言 客観的な資料がない場合、本人や家族による申立書、または当時の状況を知る友人や職場関係者の証言などが考慮される場合もあります。ただし、これはあくまで補足的な証明手段であり、客観的資料がある方が有利です。
障害年金請求における「初診日認定」の実務
日本年金機構では、初診日を厳格に確認するため、様々な資料の提出を求めます。カルテが存在しない場合も、上記のような補完資料を積み上げることで「初診日認定」されることがあります。
特に重要なのは、「初診日とされる日付の合理性」と「連続性のある受診歴」の証明です。例えば、紹介状→カルテなしの病院→現病院といった流れが確認できれば、初診日として認定される可能性は高まります。
実際に困ったときの相談先
カルテが破棄されて初診日証明に困った場合は、社会保険労務士(社労士)に相談するのが有効です。障害年金の請求に精通した社労士であれば、証拠書類の整備や提出書類の作成、年金機構とのやり取りなどを代行してくれます。
>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて
また、各都道府県にある「年金事務所」でも、初診日証明に関する相談を受け付けています。必要書類のリストや提出方法の指導を受けることができるため、まずは相談してみることをおすすめします。
まとめ:諦めずに複数の証拠を集めよう
カルテが破棄されたからといって、初診日証明が完全に不可能になるわけではありません。医療機関や保険機関、薬局、そして本人や家族の証言など、あらゆる手段を尽くすことで、証明につなげることができます。
障害年金など、人生を左右する重要な手続きにおいては、正確な初診日がカギを握ります。早めに行動し、必要な資料を集めていくことが大切です。
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