聴神経腫瘍の原因・症状・治療と障害年金の申請ポイントをやさしく解説

聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)は、耳の聞こえやバランス感覚に影響を与える良性の腫瘍です。初期には気づきにくく、放置するとさまざまな神経症状を引き起こすこともあります。

本記事では、聴神経腫瘍の原因や代表的な症状、治療法、そして生活に支障をきたした場合の障害年金の受給について、わかりやすく解説します。

聴神経腫瘍とはどんな病気か

聴神経腫瘍とは、内耳から脳に向かう「聴神経」や「前庭神経」にできる良性の腫瘍です。特に前庭神経に発生するものが多く、正式には「前庭神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)」とも呼ばれます。

この腫瘍は悪性ではないため、転移することは基本的にありませんが、時間をかけてゆっくりと大きくなっていきます。その結果、周囲の神経や脳を圧迫し、聴力や平衡感覚、顔の筋肉の動きなどに影響を及ぼすことがあります。

腫瘍が小さいうちは症状が軽く、本人が気づかないケースも少なくありません。そのため、見逃されやすい病気でもあります。

聴神経腫瘍の原因とは?

聴神経腫瘍のはっきりとした原因は、現在の医学でも完全には解明されていません。ただし、いくつかの要因が関係していると考えられています。

一つは、神経の被膜をつくる「シュワン細胞」の異常な増殖です。何らかの遺伝子の変化によって、この細胞が腫瘍化することで発症します。

また、遺伝性の病気「神経線維腫症II型(NF2)」を持つ人は、両耳に聴神経腫瘍を発症しやすいとされています。しかし、ほとんどの患者さんはこのような遺伝病を持っておらず、後天的に発症するケースがほとんどです。

今のところ、生活習慣やストレス、環境要因などが直接的な原因になるという証拠はなく、予防することは難しいとされています。

主な症状とその特徴

聴神経腫瘍の症状は、腫瘍の大きさや場所によって異なります。初期には軽い耳の不調程度ですが、進行するにつれて症状は多様になっていきます。

もっともよくみられるのは、片耳の聴力低下です。電話の声が聞き取りにくい、周囲の音がこもって聞こえるといった違和感から始まります。次に、耳鳴りやふらつき、めまいなどが現れることがあります。

腫瘍が大きくなると、聴神経の隣を通っている顔面神経が圧迫され、顔のしびれやまひが出ることもあります。さらに進行すると、バランスが取れなくなる、歩行が困難になる、頭痛、吐き気、さらには意識障害を起こすケースもあります。

これらの症状は、ゆっくり進行することが多いため、つい「年のせい」「疲れのせい」と見過ごされがちです。早期の検査と診断が大切です。

診断と治療の流れ

聴神経腫瘍の診断には、まず症状に応じた問診と聴力検査が行われます。その後、正確な診断にはMRI検査が必要となります。特に「造影MRI」という方法を使うことで、脳内の小さな腫瘍でも発見しやすくなります。

診断された後の治療方法は、腫瘍の大きさや症状の程度によって異なります。

経過観察

腫瘍が小さく症状が軽い場合は、定期的なMRI検査で様子を見ることがあります。

放射線治療

中程度の大きさや成長がみられる腫瘍には、定位放射線治療(ガンマナイフなど)が行われることがあります。

外科手術

腫瘍が大きく、神経や脳を圧迫している場合は、手術による切除が検討されます。

治療には聴力や顔面神経の機能を温存する配慮が求められますが、術後に障害が残る可能性もあります。そのため、医師とよく相談したうえで治療法を選択することが重要です。

聴神経腫瘍と障害年金の関係

聴神経腫瘍の治療後、もし日常生活や仕事に支障をきたす障害が残った場合は、障害年金を申請できる可能性があります。

障害年金とは、病気やケガにより生活や就労が困難になったときに支給される公的な制度です。聴神経腫瘍によって、以下のような障害が残った場合には申請が可能です。

  • 聴力が大きく低下した(片耳・両耳)
  • 耳鳴りが常に続いている
  • めまいやふらつきがひどく、歩行や移動が困難
  • 顔面まひやしびれで会話や表情に支障がある

障害年金の等級は、症状の重さや日常生活の制限度に応じて1級から3級まで分かれています。手術や治療の結果、重い障害が残った場合は、等級が高くなる可能性もあります。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

申請に必要な準備と注意点

障害年金を申請する際には、以下のような書類が必要です。

  • 初診日を証明する書類(診療明細書、紹介状など)
  • 医師が作成した診断書(所定の書式)
  • 病歴・就労状況等申立書(本人が記入)
  • 住民票や戸籍謄本、年金手帳などの基本情報

申請のポイントは、どのくらい生活に支障があるかを具体的に伝えることです。例えば、「音が聞こえにくく、会話が困難」「ふらつきがあり、外出に介助が必要」など、日常生活の不便さを正確に書くことが大切です。

また、申請が通るまでには時間がかかることもあるため、早めの準備をおすすめします。不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談するのも良い方法です。

まとめ:早期発見と制度の活用を

聴神経腫瘍は進行がゆっくりな分、早期に発見できれば生活への影響を最小限に抑えることができます。もし耳の聞こえに違和感を覚えたり、ふらつきやめまいが続いたりする場合は、早めに医療機関を受診してください。

また、治療後に日常生活や仕事に支障が出た場合は、障害年金という公的制度を活用することで、経済的な不安を軽減することができます。あきらめずに正しい情報を得て、自分に合ったサポートを受けましょう。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われる生活補助金です。

>>障害年金の基礎知識について

>>障害年金の受給額について

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

障害年金に該当しているかどうか簡単に診断できるページがありますのでもし障害年金をもらえるかもと思った方は是非診断してみてください。

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目の傷病

白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変形症、両人工的無水晶体眼、眼球振盪症 など

聴覚

メニエール病、感音性難聴、突発性難聴 など

肢体

重症筋無力症、関節リュウマチ、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、人工股関節など

脳の傷病

脳卒中、脳出血 、脳梗塞など

精神

統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など

呼吸器疾患

気管支ぜん息、肺線維症、肺結核など

心疾患、高血圧

狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など

腎疾患、肝疾患、糖尿病

慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 など

その他

悪性新生物(ガン)、高次脳機能障害、化学物質過敏症、各種難病(強皮症、パーキンソン症候群)、その他難病など

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
自分で判断できない場合は、専門家にご相談ください。

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