ファロー四徴症と障害年金 原因から申請手続きまで徹底解説

ファロー四徴症は、先天性の心疾患で、主に4つの心臓の異常が原因で発症します。この疾患はチアノーゼや呼吸困難、成長の遅れなどを引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。

治療の中心は外科手術ですが、手術後も定期的な経過観察が必要です。また、重度の障害が残る場合には、障害年金の受給が可能なケースもあります。

本記事では、ファロー四徴症の原因や症状、治療方法に加え、障害年金の受給要件や申請手続きについて詳しく解説します。

ファロー四徴症の原因

ファロー四徴症は、胎児の心臓が発達する過程で異常が生じることによって発症します。

具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境的要因が複合的に影響していると考えられています。例えば、母親が妊娠中に風疹に感染したり、妊娠初期にアルコールや薬物を摂取した場合に、胎児の心臓発育に影響を及ぼす可能性があります。

また、ダウン症などの染色体異常がある場合にも、ファロー四徴症が発症するリスクが高まるとされています。

ファロー四徴症の症状

ファロー四徴症は、主に以下の4つの特徴的な心臓の異常によって引き起こされます。

心室中隔欠損(VSD)

心室間に穴が開いている状態で、酸素を含む血液と含まない血液が混ざり、十分に酸素化された血液が全身に送られません。

大動脈騎乗

大動脈が正常よりも右寄りに位置し、酸素不足の血液を全身に送ってしまうため、チアノーゼ(皮膚が青紫色になる状態)を引き起こします。

右心室肥大

臓の右心室が異常に肥大し、正常なポンプ機能が損なわれます。

肺動脈狭窄

肺動脈が狭くなることで、肺に送られる血液の量が減り、酸素を十分に供給できません。

このような心臓の異常により、患者はチアノーゼ、疲れやすさ、発育の遅れ、呼吸困難といった症状を呈します。また、泣いたり運動したりする際に「テトラロジー発作」と呼ばれる急な酸素不足が起こることがあります。この発作は命に関わる場合があるため、迅速な対応が求められます。

ファロー四徴症の治療と予後

ファロー四徴症の治療には、外科手術が必要です。最も一般的な治療法は、心室中隔欠損を修復し、肺動脈狭窄を改善する手術です。手術は通常、幼児期に行われますが、個々の病状によっては出生直後に緊急手術が行われることもあります。

手術が成功すれば、患者は通常の生活を送ることが可能です。しかし、手術後も定期的な経過観察が必要で、合併症や再手術が必要になる場合もあります。

障害年金の対象となるか

ファロー四徴症のような先天性心疾患の場合、障害年金を受給できる可能性があります。障害年金は、病気やけがで働けない、または日常生活に支障をきたしている場合に支給される公的な年金です。

ファロー四徴症の患者が障害年金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

障害認定日:手術後の症状や経過に基づいて、障害が固定されたとみなされる日(障害認定日)に、症状がどの程度であったかが重要になります。通常、手術後1年半以上経過した時点での状態を基に判断されます。

障害等級:障害年金は、身体の状態に応じて1級から3級までの等級があり、それに基づいて支給される額が決まります。ファロー四徴症の患者の場合、チアノーゼの度合いや、心機能がどの程度日常生活に支障をきたしているかによって、等級が決定されます。例えば、軽度の症状で日常生活に大きな支障がない場合は3級、重度であれば1級に該当する可能性があります。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

障害年金の申請手続き

障害年金を申請する際には、診断書や病歴・就労状況等申立書などの書類を準備する必要があります。ファロー四徴症のような複雑な病気の場合、主治医と相談しながら正確な診断書を作成してもらうことが重要です。また、手続き自体が複雑な場合が多いため、障害年金の専門家に相談することも検討すると良いでしょう。

ファロー四徴症の患者が障害年金を受給することは、経済的なサポートを得る上で大きな助けとなります。早期に適切な情報を収集し、必要な手続きを進めることが重要です。

障害年金を受給するためのポイント

ファロー四徴症の患者が障害年金を受給する際には、以下の点を押さえておくとスムーズに進めることができます。

正確な診断書の作成

診断書は申請の成否を左右する重要な書類です。主治医に、具体的な症状や日常生活への影響を詳細に記載してもらいましょう。たとえば、チアノーゼの有無、心機能の評価(例えば心エコー検査の結果)、日常生活動作(ADL)に支障がある場合はその内容を明確に示すことが必要です。

初診日を証明する

障害年金の申請には、「初診日」が重要な要素となります。これは、病気や障害の原因となる症状について初めて診療を受けた日を指します。初診日の証明ができないと、申請が認められない場合がありますので、過去のカルテや受診記録を確認しておきましょう。

申請書類の準備

診断書のほかに、申立書や収入証明書など、さまざまな書類を用意する必要があります。これらの書類は正確かつ完全な形で提出することが求められます。不備があると審査が遅れたり、却下されたりする可能性があります。

専門家への相談

障害年金の申請は複雑な手続きが伴います。そのため、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することで、スムーズに進めることが可能です。特に障害年金に特化した社労士に依頼すると、成功率が高まる場合があります。

障害年金受給後の注意点

受給後も、定期的な更新手続きが必要です。更新時には、再度診断書の提出が求められるため、主治医に現在の状態を正確に評価してもらいましょう。また、症状が改善した場合は等級が変更されることもあります。

さらに、ファロー四徴症のような先天性心疾患は、長期にわたる治療や経過観察が必要なため、医療費の負担も大きくなる可能性があります。障害年金だけでなく、自治体の医療費助成制度や高額療養費制度なども併せて利用することで、生活への負担を軽減することができます。

まとめ

ファロー四徴症は、早期の治療と適切な経過観察によって、患者の生活の質を大きく向上させることができます。一方で、障害が残る場合には、障害年金の受給が患者や家族の生活を支える重要な手段となります。

適切な情報を収集し、専門家と相談しながら手続きを進めることで、安心して治療や生活を続けられる環境を整えましょう。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われる生活補助金です。

>>障害年金の基礎知識について

>>障害年金の受給額について

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

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目の傷病

白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変形症、両人工的無水晶体眼、眼球振盪症 など

聴覚

メニエール病、感音性難聴、突発性難聴 など

肢体

重症筋無力症、関節リュウマチ、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、人工股関節など

脳の傷病

脳卒中、脳出血 、脳梗塞など

精神

統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など

呼吸器疾患

気管支ぜん息、肺線維症、肺結核など

心疾患、高血圧

狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など

腎疾患、肝疾患、糖尿病

慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 など

その他

悪性新生物(ガン)、高次脳機能障害、化学物質過敏症、各種難病(強皮症、パーキンソン症候群)、その他難病など

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
自分で判断できない場合は、専門家にご相談ください。

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