

S状結腸穿孔の手術で人工肛門(ストーマ)を造設した方は、身体的な不便さに加えて、仕事や生活の制限に悩むことが多いです。そうした中で、「障害年金をもらえるのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、人工肛門が障害年金の対象になるかどうか、受給の条件、申請の流れについて、専門的な用語を使わずにわかりやすく説明します。
人工肛門は障害年金の対象になります
人工肛門は、障害年金の認定基準において「肛門機能を完全に失った状態」とされ、原則として3級に該当します。つまり、一定の条件を満たしていれば、障害年金を受け取ることが可能です。
ただし、注意すべきポイントがあります。障害年金には2種類あり、3級があるのは「障害厚生年金」だけです。自営業や専業主婦など、国民年金のみに加入していた方は3級の対象外となるため、人工肛門だけでは障害年金を受け取れません。
障害年金を受け取るための3つの条件
障害年金を申請し、実際に受け取るためには、以下の3つの条件を満たしている必要があります。
- 初診日が明確であること
- 保険料を納めていること
- 一定以上の障害状態にあること
人工肛門の場合、造設後6か月が経過し、その状態が続いている必要があります。特に「初診日」と「保険料の納付状況」は、証明できないと審査に通らないため、しっかり確認しておきましょう。
初診日の時点での年金制度が重要です
初診日に厚生年金に加入していたかどうかが、障害年金の受給可否を左右します。会社員や公務員として働いていた時期に発症し、病院を受診していたのであれば、厚生年金の対象として3級の年金を申請できます。
逆に、初診日が国民年金のみの加入期間だった場合、3級の年金が存在しないため、人工肛門単体では受給できない点に注意が必要です。
人工肛門をつけてから6か月が申請の目安
一般的には、初診日から1年6ヶ月後の状態が障害認定の基準になります。しかし、人工肛門については例外的に「造設から6か月後」を障害認定日とすることが認められています。
そのため、ストーマの手術から半年経った時点で申請できるケースも多く、早めに準備を進めることが大切です。
障害年金の申請手順
障害年金を申請するには、次のようなステップを踏みます。
- 年金事務所での相談・申請書類の受け取り
- 初診日を証明する「受診状況等証明書」の取得
- 医師による障害年金用の診断書の記入
- 「病歴・就労状況等申立書」の作成
- 書類一式の提出
特に診断書には、人工肛門の状態や日常生活への影響が具体的に書かれている必要があります。内容に不備があると不支給になることもあるので、記載内容は事前によく確認しましょう。
過去にさかのぼって年金をもらえることも
障害年金には、申請後の状態に基づいて受け取る「事後重症請求」と、過去の障害認定日の状態にさかのぼって受け取る「障害認定日請求」があります。
人工肛門の場合は、手術から6ヶ月後の診断書を用意できれば、そこまでさかのぼって年金を受け取ることができます。遡及請求では最大5年分まで受け取れる可能性もあるため、該当しそうな方は一度確認してみましょう。
他の障害と合わせて等級が上がることも
人工肛門の状態に加えて、ほかの病気や障害がある場合、それらを総合的に判断して、等級が上がる場合もあります。たとえば以下のようなケースです。
- がん治療による体力低下
- 手足の麻痺や慢性疾患
- 精神疾患(うつ病・適応障害など)
複数の障害がある場合は、それぞれについて診断書に記載し、併合認定を目指しましょう。
まとめ|制度を活用して、生活の安定を目指そう
人工肛門を造設した方は、日常生活や仕事に大きな影響を受けます。その負担を少しでも軽くする手段として、障害年金の制度は非常に有効です。
まずは「初診日」「保険料の納付状況」「現在の状態」の3つを確認し、早めに行動を始めましょう。不安な場合は、年金事務所での相談や、障害年金に詳しい社会保険労務士のサポートを受けるのもおすすめです。
適切に申請すれば、経済的にも精神的にも安定した生活への一歩が踏み出せるはずです。
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