顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの原因から障害年金の申請方法まで徹底解説

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(Facioscapulohumeral muscular dystrophy、FSHD)は、筋肉の力が徐々に低下する遺伝性疾患です。主に顔面、肩甲、上腕の筋肉に影響を及ぼし、進行性の筋力低下が特徴です。

この疾患についての理解を深めるために、原因、症状、そして障害年金の適用について説明します。

目次

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの原因

FSHDは、遺伝子の異常によって引き起こされます。特に、第4染色体上の特定の遺伝子(D4Z4リピート)の変異が関連していることがわかっています。D4Z4リピート領域の縮小が、異常なタンパク質の発現を引き起こし、それが筋肉細胞に悪影響を与えます。FSHDには、タイプ1(FSHD1)とタイプ2(FSHD2)の2つのタイプがあり、どちらも異なる遺伝的メカニズムで発症しますが、筋肉への影響は似ています。

家族歴がある場合、親から遺伝することが多く、約70%のケースで親から子へ50%の確率で遺伝します。ただし、FSHDの発症の重症度は個々で異なるため、同じ家族でも症状の進行具合は異なることがあります。

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの主な症状

FSHDの主な症状は、顔面、肩甲、上腕の筋力低下です。症状は緩やかに進行し、通常は10代から30代の間に発症しますが、軽度な場合は気づかれにくいこともあります。症状は次第に全身の筋肉に影響を及ぼし、歩行や日常生活に支障をきたすことがあります。

顔面の筋力低下

目を閉じる、微笑む、口笛を吹くなどの動作が困難になります。顔の表情筋が影響を受けるため、顔の表情が乏しくなることもあります。

肩甲骨周囲の筋力低下

肩の可動域が制限され、腕を持ち上げることが難しくなります。肩甲骨が浮き出てしまう(肩甲骨翼状化)症状が見られることもあります。

上腕の筋力低下

腕を上げたり物を持ったりすることが困難になります。

その他の症状

背中や腰の筋肉、下肢にも症状が進行することがあります。呼吸筋や心臓の筋肉に影響を及ぼすことは比較的少ないですが、場合によっては呼吸困難を伴うこともあります。

症状は人によって異なり、軽度の筋力低下から重度の障害まで幅広いですが、通常、命にかかわることはありません。

FSHDと障害年金の申請について

FSHDのような進行性の筋ジストロフィーは、日常生活に支障をきたすため、障害年金を受け取るための条件に該当することが多いです。

障害年金は、働くことが難しくなったり、生活上のサポートが必要になった場合に、経済的支援を受けるための重要な制度です。日本では、障害基礎年金と障害厚生年金という2種類の年金制度があります。

申請に必要な書類としては、医師による診断書(指定された様式)、本人の申立書、そして医療機関での受診履歴などが求められます。特に、進行性の疾患であるFSHDでは、現在の症状だけでなく、今後の予測や生活への影響をしっかりと記載することが重要です。

障害年金の認定基準では、筋力低下が日常生活にどの程度の影響を与えているかが評価され、特に歩行や食事、入浴などの基本的な生活動作の制限が大きな要素となります。FSHDの患者さんの場合、これらの動作が次第に困難になることが多いため、症状が進行している場合には、早めに年金の申請を行うことをお勧めします。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

まとめ

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、遺伝性の進行性筋疾患であり、主に顔面や肩甲、上腕の筋肉に影響を与えます。遺伝子の異常が原因で、症状は徐々に進行し、日常生活に大きな影響を及ぼすことが多いです。

この病気に対しては、障害年金の申請が可能であり、適切な書類を揃えて早めに手続きを進めることが重要です。日々の生活に必要なサポートを受けつつ、医師と相談しながら症状の進行に対応していくことが求められます。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいらっしゃいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

部位・傷病症状
ブドウ膜炎、緑内障(ベーチェット病によるもの含む)、白内障、眼球萎縮、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、眼球萎縮、網膜はく離、腎性網膜症、糖尿病網膜症

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聴覚、平衡機能

感音性難聴、突発性難聴、神経性難聴、メニエール病、頭部外傷又は音響外傷による内耳障害、薬物中毒による内耳障害

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鼻腔

外傷性鼻科疾患

口腔(そしゃく言語)、言語

上顎癌、上顎腫瘍、喉頭腫瘍、喉頭全摘出手術、失語症、脳血栓(言語)など

肢体の障害事故によるケガ(人工骨頭など)、骨折、変形性股間節症、肺髄性小児麻痺、脳性麻痺脊柱の脱臼骨折、脳軟化症、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血、上肢または下肢の切断障害、重症筋無力症、上肢または下肢の外傷性運動障害、関節リウマチ、ビュルガー病、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、パーキンソン病、硬直性脊髄炎、脳血管障害、脊髄の器質障害、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、ポストポリオ症候群、線維筋痛症

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精神障害うつ病、そううつ病、統合失調症、適応障害、老年および初老などによる痴呆全般、てんかん、知的障害、発達障害、アスペルガー症候群、高次脳機能障害、アルツハイマー等

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呼吸器疾患

気管支喘息、慢性気管支炎、肺結核、じん肺、膿胸、肺線維症、肺気腫、呼吸不全など

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循環器疾患心筋梗塞、心筋症、冠状僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、先天性疾患など

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腎疾患慢性腎炎、慢性腎不全、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎など

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肝疾患肝炎、肝硬変、肝がんなど
糖尿病糖尿病(難治性含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など糖尿病性と明示された全ての合併症

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その他人工肛門、人工膀胱、尿路変更、クローン病、潰瘍性大腸炎、化学物質過敏症、白血病、周期性好中球減少症、HIV、乳癌・胃癌・子宮頸癌・膀胱癌・直腸癌等のがん全般、悪性新生物、脳脊髄液減少症、悪性高血圧、その他難病

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この記事を書いた人

岩本 浩一 (いわもと こういち)
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

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