

高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる認知機能の障害です。交通事故や脳梗塞、脳出血、外傷性脳損傷などの脳へのダメージが原因となり、日常生活に影響を与えるさまざまな症状が現れます。
具体的な症状は個々の損傷部位や程度によって異なりますが、大きく分けて記憶障害、注意障害、言語障害、遂行機能障害、認知障害が挙げられます。これらの症状が重なることも多く、患者の生活の質に大きな影響を及ぼします。
高次脳機能障害の症状
記憶障害
高次脳機能障害の代表的な症状の一つが記憶障害です。短期記憶や新しい情報を覚えることが難しくなり、会話を繰り返してしまったり、同じ質問を何度もすることがあります。また、過去の出来事を思い出せなくなったり、最近の出来事の記憶が混乱することもあります。
このような症状は、患者の日常生活に支障をきたすことが多く、他者とのコミュニケーションや社会生活に影響を与えることがあります。
注意障害
注意障害は、集中力を持続できなくなる状態です。周囲の状況に気を取られてしまい、一つの作業に集中できない、複数の作業を同時に進めることができないといった問題が生じます。また、話し手の会話を途中で理解できなくなることもあり、コミュニケーションにおいて支障をきたすことがあります。
注意障害は、職場や家庭での作業効率を低下させるため、患者やその周囲の人々にとって大きなストレスとなります。
言語障害
言語に関する障害も高次脳機能障害の一つです。これは、話すこと、聞くこと、読むこと、書くことのいずれか、あるいはすべてに問題が生じることがあります。言葉がうまく出てこない(発語障害)、適切な言葉を選べない、他者の話している内容が理解できないといった状況が見られます。また、言葉の順序が間違っていたり、文章の構成がうまくできなかったりすることもあります。
このような言語の問題は、特に社会生活や職場でのコミュニケーションに大きな影響を及ぼします。
遂行機能障害
遂行機能障害とは、計画を立てたり、段取りを組んで行動を進めたりする能力が低下する症状です。日常生活においては、物事の順番がわからなくなり、家事や仕事を効率よく行えなくなることがあります。例えば、料理を作る際に手順が混乱してしまい、結果的に何もできなかったり、買い物に行っても必要なものを忘れてしまったりします。
このような遂行機能障害は、社会生活や家庭内での役割遂行に支障をきたし、患者自身が自信を失う原因にもなります。
認知障害
認知障害は、物事や人を認識する能力に影響を与える症状です。物の形や大きさ、距離などを正確に把握できなくなったり、顔や場所を覚えられなくなったりすることがあります。また、時間や空間の認識が曖昧になることもあり、外出時に迷子になるケースも少なくありません。
認知障害は、患者の日常生活における自立を困難にし、他者の支援が必要になることが多くなります。
情動・人格の変化
高次脳機能障害は、感情や人格にも影響を及ぼすことがあります。患者は、感情のコントロールが難しくなり、急に怒り出したり、感情の起伏が激しくなることがあります。また、以前とは異なる人格的な変化が見られることもあり、例えば、以前は穏やかだった人が攻撃的になったり、反対に無関心や無気力になることがあります。
このような情動や人格の変化は、家族や友人との関係に大きな影響を与えることがあり、患者とその周囲の人々にとって困難な課題となります。
高次脳機能障害とリハビリテーション
高次脳機能障害の治療には、リハビリテーションが不可欠です。個々の症状に応じて、記憶訓練、注意力トレーニング、言語療法、日常生活動作の訓練などが行われます。専門家のサポートを受けながら、患者は徐々に機能を回復させ、生活の質を向上させることを目指します。
また、家族や介護者も、患者の回復過程において重要な役割を果たすため、適切な支援や理解が求められます。
まとめ
高次脳機能障害は、多様な症状を持つ複雑な障害です。記憶、注意、言語、遂行機能、認知、情動など、さまざまな領域に影響を与えるため、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。しかし、適切なリハビリテーションや周囲のサポートによって、症状の改善や生活の質の向上が期待できます。患者自身だけでなく、家族や介護者も理解と協力が必要な課題です。
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