結論:間質性肺炎でも、息苦しさが重く、肺の検査値が悪ければ、障害年金を受け取れます
間質性肺炎は、障害年金の対象になる病気です。ただし、間質性肺炎と診断されたことだけで受け取れるわけではありません。肺が硬くなって酸素を取り込みにくくなるため、息切れや呼吸困難が出ます。障害年金では、その息苦しさのために、日常生活や仕事がどのくらい制限されているか、肺の働きを調べる検査や血液中の酸素の量の検査結果がどうかなどから、総合して判断されます。間質性肺炎は、障害認定基準の「第10節 呼吸器疾患による障害」で判断されます。認定基準は呼吸器疾患を「肺結核」「じん肺」「呼吸不全」に分けており、間質性肺炎は、原因となる病気の種類を問わない「呼吸不全」の基準で見られます。
また、障害認定基準(第10節)は、常時(24時間)の在宅酸素療法を行っていて、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級と認定するとしています。酸素を使っていることだけで当たるのではなく、「常時(24時間)」と「軽易な労働以外の労働に常に支障がある」の両方が必要です。症状や検査の結果、日常生活の状況によっては、さらに上の等級になることもあります。この場合、障害の程度を認定する時期は、在宅酸素療法を始めた日です(始めた日が初診日から1年6か月以内の場合に限ります)。
もう1つ大切なのは、年金制度の違いです。3級は障害厚生年金にしかありません。初診日(間質性肺炎の症状で初めて医師の診療を受けた日)に厚生年金に加入していた方は、3級の基準に当たれば受け取れます。初診日に国民年金に加入していた方(自営業、無職、パートで厚生年金に入っていない方など)は、2級以上の基準に当たらないと受け取れません。
この記事は、間質性肺炎で障害年金を考えている方と、そのご家族のために、受け取れるかどうかの考え方と、準備するもの、注意点を説明します。
間質性肺炎で障害年金を受け取れるのは、どんなときか
条件の1つめは、初診日に年金制度へ加入していたことです。会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間に初診日があれば、1級・2級では障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされ、3級では障害厚生年金だけが支給されます。国民年金の期間に初診日がある方は、障害基礎年金(1級・2級)の対象になります。
2つめは、保険料の納付です。初診日がある月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納めた期間と免除された期間をあわせて3分の2以上あることが原則です(初診日の前日で判定します)。令和18年3月末までに初診日があって初診日に65歳未満であれば、初診日がある月の前々月までの1年間に未納がなければよい、という特例もあります。
3つめは、障害の程度です。次の節で説明します。
初診日や納付要件のくわしい説明は、100の質問の「初診日とは何ですか?」(Q13)と「障害年金はどんな人がもらえますか?」(Q2)をご覧ください。
障害の程度は、どう判断されるのか
呼吸器疾患の認定では、障害認定基準が定める検査の結果(肺の働きを調べる検査、血液中の酸素の量など)、自覚症状、他覚所見、日常生活の状態、治療(酸素療法を行っているかなど)の状況が総合して見られます。呼吸不全の検査には、動脈血ガス分析(血液中の酸素と二酸化炭素の圧力)と、予測肺活量1秒率(1秒間に吐き出せる空気の量を、その人の予測肺活量で割った値)があり、必要に応じて運動負荷肺機能検査も行われます。認定基準は、異常の程度を次のように分けています。動脈血の酸素の圧力(動脈血O2分圧)は、70〜61Torrが軽度異常、60〜56Torrが中等度異常、55Torr以下が高度異常です。予測肺活量1秒率は、40〜31%が軽度異常、30〜21%が中等度異常、20%以下が高度異常です。そのうえで、等級の例として、検査の結果が高度異常で、身のまわりのこともできず常に介助が必要な状態は1級、中等度異常で、軽い労働ができず日中の半分以上を横になって過ごす状態などは2級、軽度異常で、肉体労働は制限されるものの歩行や軽い作業はできる状態などは3級、と示されています。判定では動脈血ガス分析の値が優先されますが、ほかの検査の結果や日常生活の状況もあわせて、総合的に判断されます(障害認定基準 第10節)。
等級の決まり方は、100の質問の「障害年金の等級(1級・2級・3級)はどう決まりますか?」(Q4)をご覧ください。
当センターの事例
- 50代の男性の事例です。仕事中に咳き込むことが増え、会社の健康診断で異常が見つかり、再受診して間質性肺炎と診断されました。大学病院で入院検査を行い、治療が長期化するとわかって退職しました。酸素ボンベを常時つけていて、仕事ができる状態ではありませんでした。生活保護を考えていましたが、自立した生活を望んでいました。障害厚生年金3級(年額約58万円)が決まりました。当初の診断書は、検査をした日の状態が良好で、障害年金を受け取れる内容ではありませんでした。病院に連絡して再度検査をしてもらい、その結果、一部のデータが基準に当たるものになりました。検査結果が一部を除いて良好だったため、2級ではなく3級になりました。今後悪化した場合は、次回の更新を待たずに額改定請求ができることもお伝えしました(事例)。
事例は、受給をお約束するものではありません。同じ間質性肺炎でも、結果は一人ひとりの状況と、検査の結果によって異なります。
検査の日の状態で、診断書が軽く出ることがあります
呼吸器疾患の診断書には、検査の結果を書く欄があります。検査を受けた日の状態が良好だと、普段の息苦しさに比べて、診断書の内容が軽くなってしまうことがあります。上の事例(7097)では、検査をした日の状態が良く、診断書が障害年金を受け取れる内容ではなかったため、病院に連絡して再度検査をしてもらいました。診断書を依頼する前に、主治医に、普段の息切れの程度、階段や坂道での苦しさ、酸素ボンベの使用状況、日常生活でできなくなったことを、具体的に伝えておくことが大切です。
在宅酸素療法を受けている方は、診断書に、酸素を使っている時間(常時か、労作時や就寝時だけか)と、酸素の流量を、正確に書いてもらうことも大切です。
診断書は、「呼吸器疾患の障害用」(様式第120号の5)で、現在の主治医に書いてもらいます。診断書の費用は、医療機関ごとに決められており、健康保険の対象外です。依頼する前に、料金と作成にかかる期間を確認してください。
病歴・就労状況等申立書には、診断書だけでは伝わらない不便を、具体的に書きます。上の事例では、簡単な家事でも呼吸困難になることを、詳しく書きました。
くわしくは、100の質問の「診断書はどの医療機関で書いてもらえばよいですか?」(Q19)をご覧ください。
治療の副作用で、別の病気になったとき
間質性肺炎の治療にはステロイドが使われることがあり、長く使うと、骨がもろくなったり、大腿骨頭壊死(太ももの骨の先端の骨が壊れる病気)になったりすることがあります。大腿骨頭壊死で人工股関節を入れると、障害年金の対象になることがあります。このとき、初診日は、大腿骨頭壊死で整形外科を受診した日ではなく、もとの間質性肺炎で初めて受診した日になることがあります。障害年金の初診日は、その病気と、その病気が原因で起きた病気(法律では「起因する疾病」)について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です(国民年金法第30条第1項、厚生年金保険法第47条第1項)。障害認定基準は、前の病気がなかったら後の病気が起こらなかったであろう、という関係(相当因果関係)があるときを、「起因する疾病」としています(障害認定基準 第1 一般的事項)。ステロイドの副作用で大腿骨頭壊死になったと認められれば、間質性肺炎の初診日が初診日になります。認められるかどうかは日本年金機構が個別に判断するもので、必ず認められるわけではありません。また、間質性肺炎が強皮症などの膠原病から起きている場合は、その膠原病で初めて受診した日が初診日になることがあります。人工股関節は原則3級で、3級は厚生年金だけの等級なので、国民年金の期間に初診日がある方は、2級に当たらないと受け取れません。
- 50代の男性の事例です。間質性肺炎の診断は令和2年で、ステロイドの長期内服により大腿骨頭壊死になりました。初診日は間質性肺炎の受診日になり、令和2年に受診した内科で受診状況等証明書を作成してもらいました。人工股関節で、障害厚生年金3級(年額約72万円)が決まりました(事例)。
- 60代の女性の事例です。強皮症で通院を続けていて、同じ時期に間質性肺炎と診断され、強皮症から来ていると言われました。間質性肺炎の治療のステロイドで骨がもろくなって何度も骨折を繰り返し、大腿骨頭壊死で人工股関節(人工骨頭)の手術をしました。咳の症状で最初に受診した内科で受診状況等証明書を作成してもらい、人工関節による事後重症請求で、障害厚生年金3級(年額約58万円)が決まりました(事例)。
この2件で障害年金の対象になったのは、大腿骨頭壊死(人工関節)です。間質性肺炎そのものの等級ではありません。人工関節については、人工関節で障害年金はもらえる?をご覧ください。
初診日の確認が、最初の大切な作業です
間質性肺炎は、咳や息切れが続いても、風邪やほかの病気と思って受診が遅れたり、健康診断で異常が見つかって受診したりします。障害年金の初診日は、その病気で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。健康診断を受けた日は、原則として初診日にはならず、異常を指摘されたあと、治療のために初めて医療機関を受診した日が初診日になります。ただし、その受診日の証明が取れない場合で、健診の結果が、医学的に見てすぐに治療が必要な内容だったときは、請求する方が申し立てることで、健診日を初診日と認めてもらえることがあります。この場合は、人間ドックの結果など、健診日を証明する資料が必要です(平成27年9月28日 年管管発0928第6号)。また、間質性肺炎と診断される前に、咳や息切れで別の医療機関を受診していれば、その日が初診日になることがあります。
初診日が分からないときは、100の質問の「初診日が分からないときはどうすればよいですか?」(Q26)をご覧ください。
働いていても、受け取れますか
働いていることだけを理由に、対象外になるわけではありません。呼吸器疾患は、検査の結果や症状、日常生活の状態で判断されます。ただし、診断書の検査値が基準に届かないと、働けていることが判断に影響することがあります。仕事のなかで、息切れのためにできなくなったことや、職場の配慮があれば、主治医に伝えて、診断書や申立書に書きましょう。
くわしくは、100の質問の「働いていると障害年金はもらえませんか?」(Q53)をご覧ください。
さかのぼって受け取れることがあります
障害認定日の時点で等級に当たっていたことが認められると、障害認定日の翌月分までさかのぼって年金を受け取れることがあります。ただし、さかのぼれるのは、時効の関係で、5年分までです。在宅酸素療法を始めている場合は、始めた日(初診日から1年6か月以内の場合)が障害の程度を認定する時期になることがあります。
障害認定日に等級に当たっていなかった場合は、その後に症状が重くなったときに「事後重症」として請求できます。事後重症の請求は、65歳の誕生日の前々日までにする必要があり、年金は請求した月の翌月分から支給されます。さかのぼっては受け取れません。間質性肺炎は進行することがあるため、症状が重くなったときの請求や、受給後に悪化したときの額改定請求も、あわせて考えます。
くわしくは、100の質問の「遡及請求(さかのぼって受給)とは何ですか?何年分までもらえますか?」(Q78)をご覧ください。
受け取れる金額の目安
障害基礎年金は定額です。令和8年度(2026年度)は、2級が年額847,300円、1級が年額1,059,125円です(昭和31年4月2日以後生まれの方の額です。子がいる場合は、加算があります)。障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間や、それまでの給与の額で変わります。1級・2級では、障害基礎年金に上乗せして支給されます。3級には最低保障額(令和8年度は年額635,500円・昭和31年4月2日以後生まれの方の額)があります。
障害年金は、所得税や住民税がかからない年金です。年金額は年度ごとに改定されるため、最新の金額は、障害年金の金額のページでご確認ください。
申請の流れと、結果が出るまでの期間
申請は、初診日と年金制度の確認、初診日の証明、診断書の依頼、申立書の作成、年金請求書の提出、という順で進みます。年金請求書を提出してから、決定の通知と年金証書が届くまでは、3か月程度が目安です(日本年金機構「障害年金ガイド」の目安です。障害の状態を詳しく確認する必要がある場合などは、通常より時間がかかることがあります)。
くわしい手順は、100の質問の「障害年金の申請の流れを教えてください」(Q17)をご覧ください。
不支給になった場合と、受給後の更新
審査の結果、不支給になることもあります。不支給の通知が届いたときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に、審査請求ができます(共済組合等が決定した場合は、不服申立ての窓口が異なります)。診断書や資料をそろえ直して、あらためて請求し直す方法もあります。どちらが適しているかは、不支給の理由によって変わります。
障害年金を受け取り始めたあとも、多くの場合、1〜5年ごとに、障害状態確認届(診断書)を提出して、障害の状態を確認されます。症状が改善したと判断されると、年金額が下がったり、支給が停止したりすることがあります。反対に、悪化したときは、等級を上げる請求(額改定請求)ができます。ただし原則として、受給権を取得した日か、前回の診査を受けた日から1年が過ぎてからでないと請求できません。3級の障害厚生年金だけを受けている方(過去に2級以上になったことがない方)は、65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。
くわしくは、100の質問の「不支給の通知が届きました。どうすればよいですか?」(Q68)と、「障害年金の更新(障害状態確認届)とは何ですか?」(Q72)をご覧ください。
当センターに、ご相談ください
愛媛・松山障害年金相談センター(運営:社会保険労務士法人あいパートナーズ)は、四国全域の方を対象に、障害年金の申請をサポートしています。初回の相談は無料です。電話、メール、LINE、Zoomでのご相談に加えて、LINE・郵送・メールだけで申請を進めることもできます。入院中の方やご家族だけでのご相談も、ご本人の同意があれば承ります。一度も事務所にお越しにならずに、受給された方もいらっしゃいます。
料金は、受給後報酬型です。受給できた場合に、受給後報酬をいただきます。受給できなかった場合は、受給後報酬はいただきません。ただし、事務手数料(2.2万円・税込)は、委託後1週間以内にお支払いいただき、結果にかかわらず返金できません。このほか、診断書の作成料(医療機関に支払う実費)は、受給できたかどうかにかかわらずご負担いただきます。医師への同行などをご依頼いただく場合は、日当がかかることがあります(100の質問Q90)。くわしくは、サポート料金のページをご覧ください。受給をお約束するものではありません。
電話:089-907-3797(平日9:00〜18:00)。LINEとメールは、24時間受け付けています。無料受給判定では、1分ほどの入力で、受給の可能性について社会保険労務士の判定を受けられます(結果は目安で、受給をお約束するものではありません)。
間質性肺炎に関連する受給事例
間質性肺炎が関係する受給事例を、一部ご紹介します。個人が特定されないよう、内容を調整しています。
- 間質性肺炎で働けず生活保護を考えていた方が、それでも自立した生活を希望し障害厚生年金3級が決定した事例
- 強皮症から間質性肺炎に。治療のステロイドにより大腿骨頭壊死で人工股関節置換を行い障害厚生年金3級が決定した事例
- 間質性肺炎治療中に発症した大腿骨頭壊死で人工股関節置換術を受けた方の障害年金受給事例
事例は、受給をお約束するものではありません。
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制度の内容は、2026年10月時点の日本年金機構などの公開情報にもとづいています。法改正などで変わることがあります。
執筆・監修:社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表 社会保険労務士 岩本浩一
難病全般については、難病で障害年金はもらえる?でも解説しています。






















