突発性難聴は障害年金の対象になる?安西ひろこさんの告白から社労士が解説

俳優・タレントの安西ひろこさんが「突発性難聴」を公表したことで、改めてこの病気の深刻さに注目が集まっています。突発性難聴は突然発症し、治療がうまくいかない場合、聴力障害が後遺症として残ることもあります。

実はこのようなケースでは、一定の条件を満たせば「障害年金」の対象となる可能性があります。

本記事では、社労士の視点から、突発性難聴と障害年金の関係についてわかりやすく解説します。

突発性難聴は「ある日突然」起こる病気

突発性難聴は、前触れなく急に片耳の聴力が低下する病気です。
原因が特定できないことが多く、発症後すぐに治療を開始しても、必ずしも回復するとは限りません。

安西ひろこさんも、ステロイド治療が効かない「少数例」に該当したことを明かしています。突発性難聴は、治療結果によっては聴力低下や耳鳴り、めまいなどが長期に残ることがあり、日常生活や仕事に大きな影響を与えます。

聴力障害は障害年金の対象になり得る

障害年金というと、身体が動かない場合を想像されがちですが、聴覚障害も対象です。
突発性難聴で聴力が回復せず、一定の聴力レベル以下になった場合、障害年金の認定対象となる可能性があります。

ポイントは「病名」ではなく、「現在の障害状態」です。
治療を尽くしても聴力が改善せず、日常生活や就労に支障が出ているかどうかが重要視されます。

障害年金で見られる聴力の基準

障害年金では、聴力検査の数値(デシベル値)をもとに等級判断が行われます。
両耳か片耳か、補聴器を使用してもどの程度聞こえるかなど、細かな基準があります。

突発性難聴の場合、片耳のみの障害でも、状況によっては認定されるケースがあります。ただし、数値だけでなく、仕事や日常生活への影響を適切に伝えることが非常に重要です。

初診日と診断書が結果を左右する

障害年金の請求で最も重要なのが「初診日」です。
突発性難聴の場合、「最初に耳の不調で医療機関を受診した日」が初診日となります。

また、診断書の内容も結果を大きく左右します。
単に「聞こえにくい」と書かれているだけでは不十分で、生活上・就労上の具体的な支障が正確に反映されている必要があります。

「働けている=もらえない」ではない

安西さんは「仕事は続けていく」と前向きな姿勢を示していますが、働いているからといって障害年金が必ず不支給になるわけではありません。

重要なのは、「どのような配慮が必要か」「以前と同じ働き方ができているか」です。
聞き間違いによるミス、電話対応の困難さ、強い疲労感なども、障害の一部として評価される場合があります。

早めの相談が将来を守る

突発性難聴は、発症から時間が経つほど、障害年金の請求が難しくなる傾向があります。
「そのうち治るだろう」と我慢せず、治療と並行して制度面の情報を知っておくことが大切です。

障害年金は生活を支えるための制度です。
正しく知り、必要な人が適切に利用できるよう、専門家に相談することをおすすめします。

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