反芻思考による集中力低下と障害年金 うつ病・発達障害の認定基準を社労士が解説

同じ失敗や出来事が頭から離れず、何度も思い返してしまう。「あのときこうすればよかった」「また同じことが起きるのでは」と考え続け、眠れない、何も手につかない。こうした反芻思考に苦しんでいませんか。

反芻思考は性格や考え方の癖と誤解されがちですが、実際には精神疾患と深く関係し、日常生活や仕事に大きな支障を及ぼすことがあります。状態によっては、障害年金の対象となる可能性もあります。

この記事では、反芻思考と障害年金の関係を分かりやすく解説します。

反芻思考とはどのような状態か

反芻思考とは、過去の出来事や不安な考えが繰り返し頭に浮かび、意図的に止められない状態を指します。考えても答えが出ないにもかかわらず、同じ内容を延々と考え続けてしまうのが特徴です。

多くの場合、否定的な内容が中心となり、自分を責める思考や最悪の結果を想定する考えが強くなります。本人の意思で切り替えることは難しく、「考えないようにしよう」とするほど、かえって強まることもあります。

反芻思考が生活や仕事に与える影響

反芻思考が続くと、心身に大きな負担がかかります。集中力が低下し、家事や身の回りのことができなくなる、夜眠れず生活リズムが崩れるといった影響が出ることがあります。

仕事では、作業に集中できない、判断に時間がかかる、ミスを過度に恐れて行動できないなどの問題が起こりやすくなります。その結果、欠勤や休職が増え、最終的に退職に追い込まれるケースも少なくありません。

反芻思考と関係の深い病気や障害

反芻思考は、それ自体が診断名になるわけではありませんが、さまざまな精神疾患と深く関係しています。代表的なものとして、うつ病、不安障害、強迫性障害、PTSD、双極性障害などがあります。

また、発達障害(ASD・ADHD)のある方が、失敗体験の積み重ねから反芻思考を強めてしまうケースもあります。この場合、二次障害として抑うつや不安が重くなり、生活全体に影響が及ぶことがあります。

反芻思考で障害年金はもらえるのか

結論として、「反芻思考」という状態そのものだけで障害年金が支給されるわけではありません。しかし、反芻思考を含む精神疾患によって、日常生活や就労に継続的な支障が出ている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金の審査では、病名よりも「生活能力」「労働能力」がどの程度制限されているかが重視されます。反芻思考によって外出が困難、就労が安定しない、常に支援が必要な状態が続いている場合は、精神の障害として判断されます。

障害年金の審査で重視されるポイント

審査では、「考えすぎてしまう」という抽象的な表現ではなく、具体的な生活上の支障が見られます。一人で外出できるか、家事や金銭管理ができているか、通院や服薬管理に支援が必要か、就労の継続が可能かといった点が診断書で確認されます。

就労している場合でも、短時間勤務に限られている、頻繁なフォローが必要、欠勤が多いなどの事情があれば、不利になるとは限りません。

診断書作成で意識したい伝え方

反芻思考は診察室では見えにくく、医師に伝わりにくい症状の一つです。そのため、「不安があります」「考え込んでしまいます」だけで終わらせず、生活への影響を具体的に伝えることが重要です。

例えば、「同じことを考え続けて数時間動けなくなる」「過去の失敗を思い出して眠れない」「仕事中に思考が止まり作業が進まない」といった実例を整理して伝えることで、診断書の内容が実態に近づきます。

「考えすぎ」は意思の弱さではない

反芻思考が強いと、「自分の考え方が悪い」「もっと前向きにならなければ」と自分を責めてしまいがちです。しかし、反芻思考は意思や性格の問題ではなく、病気や障害の症状として起きている場合が多くあります。

障害年金は、そうした状態の中で生活を立て直すための制度です。無理に頑張り続けることだけが正解ではありません。

一人で抱え込まず専門家に相談を

反芻思考に苦しんでいると、自分の状態を客観的に判断することが難しくなります。「この程度で年金なんて」と感じてしまう方も少なくありませんが、実際には制度の対象となるケースもあります。

主治医への相談に加え、障害年金に詳しい社労士などの専門家に相談することで、現在の状態が制度上どのように評価されるのかを整理することができます。一人で悩み続ける前に、相談するという選択肢があることを知っておいてください。

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