家事ができないうつ病は障害年金の対象?認定基準と申請のポイント

うつ病になると、気力や集中力が著しく低下し、掃除や洗濯、料理といった家事ができなくなることがあります。外見上は分かりにくいため、周囲から理解されにくく、「怠けているだけ」と誤解されることも少なくありません。

しかし、家事ができない状態は日常生活能力の低下を示す重要なサインであり、障害年金の認定においても評価の対象になります。

本記事では、家事ができないうつ病と障害年金の関係、認定の考え方、申請時の注意点を分かりやすく解説します。

うつ病で家事ができない状態とは

うつ病になると、気分の落ち込みや意欲低下だけでなく、集中力の低下、判断力の低下、強い疲労感などが生じます。その結果、掃除や洗濯、料理といった日常的な家事ができなくなることがあります。

体を動かす能力自体に問題がない場合でも、「やろうと思っても体が動かない」「途中で気力が尽きてしまう」といった状態が続くのが特徴です。

このような状態は、本人にとっては生活そのものが成り立たない深刻な問題ですが、周囲からは理解されにくい側面があります。「家にいるのだから家事くらいできるはず」「怠けているだけではないか」と誤解され、必要な支援につながらないケースも少なくありません。

家事ができないうつ病は障害年金の対象になるのか

障害年金の制度においては、家事ができない状態は日常生活能力の低下を示す重要な判断要素とされています。
障害年金では、働けるかどうかだけでなく、食事、身の回りの清潔保持、家事、外出など、日常生活全体への影響が総合的に評価されます。

うつ病の場合、精神の障害の認定基準に基づき、症状の程度や継続性、日常生活への支障の度合いが判断されます。家事ができないという点は、日常生活能力の判定において軽視されるものではありません。

障害年金の認定で重視されるポイント

認定で重要なのは、「家事をしていない」こと自体ではなく、なぜ家事ができないのかという点です。

「やらない」のではなく「できない」状態かどうか

抑うつ気分や不安、強い疲労感、集中力の欠如などが原因で家事ができない場合、それは精神障害による生活機能の低下として評価されます。
単なる気分の問題や性格の問題ではなく、病気による影響であることを丁寧に説明する必要があります。

障害等級の目安

障害等級2級が検討されるケース

家事を含めた日常生活の多くを家族に依存している場合や、一人で安定した生活を送ることが難しい場合には、障害等級2級が検討されます。
身の回りのこと全般において、継続的な援助が必要な状態が目安です。

障害等級3級が検討されるケース

簡単な家事はできるものの、継続ができず、就労にも著しい制限がある場合には、障害等級3級が検討されることがあります。
症状の波が大きく、生活能力が安定しない状態が続いているかどうかが判断材料になります。

診断書作成で注意すべき点

うつ病の障害年金申請では、診断書の記載内容が結果を大きく左右します。
「抑うつ状態あり」「気分の落ち込みがある」といった抽象的な表現だけでは、家事ができない実態が十分に伝わらないことがあります。

家事のどの部分が、どの程度できないのか。
どれくらい家族の支援が必要なのか。
こうした点を具体的に医師へ伝え、診断書に反映してもらうことが重要です。

病歴・就労状況等申立書が重要な理由

家事ができないうつ病の申請では、病歴・就労状況等申立書が非常に重要です。
診断書では書ききれない日常生活の実態を、本人の言葉で補足できる書類だからです。

日常生活の困難さを具体的に伝える

1日の過ごし方、家事ができなくなった経緯、症状が悪化したときの様子などを、時系列で整理して記載することで、審査側に状況が伝わりやすくなります。

家事ができないうつ病の障害年金は専門家への相談が重要

うつ病は外見から分かりにくく、本人のつらさが正しく評価されにくい病気です。そのため、家事ができない状態が続いていても、「まだ軽い」と判断されてしまうことがあります。

家事ができない状態が長期間続いている場合、それは日常生活能力が著しく低下しているサインです。
障害年金の申請を検討する際は、制度に詳しい専門家に相談し、適切な形で生活状況を整理することが、生活の安定につながります。

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