カスタマーハラスメントが原因のうつ病・適応障害で障害年金を申請する方法

カスタマーハラスメント(カスハラ)は、過度な要求や罵倒、脅迫など、顧客による過剰な圧力で従業員が大きなストレスを抱える問題です。この影響により、うつ病や適応障害などの精神疾患に至るケースも少なくありません。

こうした精神障害を患い、日常生活や労働に支障をきたす場合、障害年金の受給を検討することができます。しかし、受給条件や給付内容は、初診日で加入していた年金制度(厚生年金か国民年金)によって異なり、正しい知識を持って対応することが重要です。

この記事では、カスハラが原因で精神障害を患った場合の障害年金受給について、受給条件や年金の種類に関して詳しく解説します。

カスタマーハラスメント(カスハラ)と精神障害の関係

カスタマーハラスメントは、顧客からの理不尽な要求や暴言、過剰なクレームなど、従業員が職務上で精神的ストレスを強いられる行為を指します。

これによりうつ病、不安障害、適応障害などの精神疾患が発症し、業務に支障が出るケースが増加しています。日本では「お客様は神様」という考え方が根強いこともあり、従業員が顧客からの圧力に対して声を上げにくい環境が背景にあります。

障害年金の種類とカスハラによる精神障害に関する受給条件

障害年金は、病気や障害によって日常生活や労働に著しい支障が生じた場合に給付される制度で、精神疾患も受給対象に含まれています。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、初診日の時点で加入していた年金制度によって、受給できる年金の種類が決まります。

障害基礎年金の受給条件

初診日が「国民年金」加入期間であった場合、障害基礎年金が適用されます。障害基礎年金は主に自営業者や無職の方が加入している制度で、次の条件を満たす必要があります。

加入期間と保険料の納付状況

障害基礎年金の申請には、初診日の前日時点で、申請者が国民年金に加入し、保険料を一定期間以上納めていることが必要です。具体的には、保険料の未納が全期間の3分の1未満であることが求められます。未納が多い場合、受給資格を満たせないため、注意が必要です。

障害等級の条件

障害基礎年金では、1級もしくは2級に認定された場合に支給されます。精神障害の場合、日常生活に支障が出ている状況が診断書や医師の意見で認められると受給の可能性が高まります。

障害厚生年金の受給条件

初診日が「厚生年金」加入期間中であった場合、障害厚生年金の受給が可能です。障害厚生年金は主に会社員や公務員が加入している制度であり、障害基礎年金とは異なる条件と等級制度があります。

加入期間と保険料の納付状況

障害生年金も保険料の納付状況が重要で、初診日の前日時点で一定期間の保険料が納付されていることが条件です。納付要件が満たされていないと、受給資格が認められないことがあります。

障害等級の条件

障害厚生年金では、1級から3級までの認定があり、3級でも受給が可能です。例えば、カスハラによる精神障害で労働に制限がかかるものの、日常生活にはそれほど支障がない場合、3級に該当する可能性があります。3級以下に該当する場合でも、条件により「障害手当金」として一時金が支給されることがあります。

>>障害年金を自分で申請するのは難しい?社会保険労務士に依頼するメリットについて

カスハラによる精神障害で障害年金を申請する際の注意点

カスハラが原因で精神障害を発症した場合、障害年金を申請するにはいくつかの注意点があります。

特に重要なのは、初診日を証明できる診断書や医療記録です。初診日は、精神科または心療内科で最初に診察を受けた日を指し、この日が障害年金の受給における判断基準となります。初診日以降の医療経過も重要なため、カスハラの影響を受けた時期の職場状況や治療内容を把握し、記録しておくことが大切です。

また、障害年金の申請には医師の診断書が必要で、その内容が申請の成否を左右します。精神疾患は目に見えにくいため、医師と相談し、具体的かつ詳細に症状を記載してもらうと、審査時に状況が伝わりやすくなります。

精神障害で障害年金を受給した後のサポートと復職への取り組み

障害年金の受給が認められた場合、経済的な支えを得られる一方で、精神的なケアと社会復帰への準備も並行して行うことが大切です。カスハラによる精神的なダメージを軽減するために、医療機関での治療やカウンセリングを継続し、メンタル面の回復に努めることが推奨されます。

さらに、各自治体や支援団体では、カスハラによる精神的苦痛や労働問題に関する相談を行っています。適切な支援を得ることで、復職への意欲や心理的安定を取り戻しやすくなるため、積極的に相談機関を利用するのも一つの方法です。

職場でのカスハラ対策と予防策

カスハラ被害を防ぐためには、職場全体での取り組みが重要です。企業が従業員の精神的な健康を守るために、カスハラ防止策や対応マニュアルを整備することが求められています。

例えば、従業員が上司や人事部門に迅速に相談できる体制を整えたり、カスハラの疑いがあるケースの報告ルートを明確化することで、従業員の負担を減らすことが可能です。

まとめ

カスタマーハラスメントが原因で精神障害を患った場合、日常生活や業務に支障をきたしているなら障害年金の受給を検討する価値があります。障害年金は、初診日に加入していた年金制度に応じて「障害基礎年金」か「障害厚生年金」のどちらが適用されるかが決まります。また、申請には保険料納付要件や医師の診断書などの条件を満たす必要があり、しっかりと準備することで申請の成功率を高めることが可能です。

障害年金は精神的・経済的なサポートとなる一方、復職や社会復帰の準備も大切です。支援機関や医療機関と協力し、カスハラの影響から少しずつ回復し、再び安心して働ける環境を目指しましょう。

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障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われる生活補助金です。

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対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

障害年金に該当しているかどうか簡単に診断できるページがありますのでもし障害年金をもらえるかもと思った方は是非診断してみてください。

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目の傷病

白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変形症、両人工的無水晶体眼、眼球振盪症 など

聴覚

メニエール病、感音性難聴、突発性難聴 など

肢体

重症筋無力症、関節リュウマチ、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、人工股関節など

脳の傷病

脳卒中、脳出血 、脳梗塞など

精神

統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など

呼吸器疾患

気管支ぜん息、肺線維症、肺結核など

心疾患、高血圧

狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など

腎疾患、肝疾患、糖尿病

慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 など

その他

悪性新生物(ガン)、高次脳機能障害、化学物質過敏症、各種難病(強皮症、パーキンソン症候群)、その他難病など

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
自分で判断できない場合は、専門家にご相談ください。

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