トキシックショック症候群で障害年金を受給することはできる?

トキシックショック症候群(TSS)を経験し、その後も体の不調が続いている。退院してからも倦怠感が抜けない、腎臓や肝臓の数値が改善しない、以前のように動けない——そんな状態が続いていませんか。
周囲からは「もう治ったんでしょう」と言われがちですが、本人にとっては日常生活を送ること自体が大きな負担になっているケースも少なくありません。
実は、TSSの重症化や後遺症による生活・就労の制限が続いている場合、障害年金の対象となる可能性があります。
この記事では、その考え方を分かりやすく解説します。

トキシックショック症候群(TSS)とはどのような病気か

トキシックショック症候群(TSS)は、ブドウ球菌やレンサ球菌が産生する毒素によって引き起こされる急性で重篤な全身性の疾患です。発熱、発疹、低血圧、多臓器不全などの症状が急速に進行し、対応が遅れると命に関わる危険性があります。
初期症状としては、突然の高熱に加え、発疹・発赤、倦怠感、嘔吐、下痢、粘膜充血などがあり、速やかに治療を受けなければ血圧低下などのショック状態に至ることがあります。 Sofy

どのような時に発症するのか

TSSは特定の人だけに起きる病気ではありません。月経時のタンポン使用や、傷の化膿、産褥期(出産後)の女性に多く見られる一方で、小児や成人男性での発症例も報告されています。 
具体的には、次のような状況での発症が知られています。

タンポン・月経カップの長時間使用

月経性のTSSは、タンポンや月経カップなどを使用している女性に起こります。タンポン使用に関連する機械的または化学的な要因により、外毒素の産生が助長されるか、外毒素が粘膜損傷部を介して血流中に侵入する過程が促進されると考えられています。 

手術後・出産後の創部感染

症例の約15%が分娩後に発生するか、軽度にみえるブドウ球菌による手術創感染症の合併症として発生しています。流産後や術後感染症の女性における症例も報告されています。

やけど・外傷などの傷口からの感染

やけどや手術後の局所感染など、TSSは年齢や性別に関係なく生じる可能性があります。傷口に黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が感染した場合、毒素が産生されてTSSへと進行することがあります。
このように、TSSは「自分には関係ない」と思われがちですが、日常的な医療処置や生活場面から発症することもある疾患です。

生活や仕事に与える影響

TSSの急性期を乗り越えた後も、生活への影響が続くことがあります。腎障害は両病型のTSSでよくみられる合併症であり、退院後も継続的な通院・治療が必要なケースがあります。 
体力が戻らず、外出や家事が困難な状態が続く、仕事への復帰ができない、短時間しか活動できないといった形で、生活範囲が大きく狭まることがあります。仕事では集中力の低下や体力不足から、以前のように働くことが難しくなるケースも少なくありません。

TSSに関連する後遺症・合併症

TSSは重症化すると、組織壊死、播種性血管内凝固(DIC)、多臓器不全へと進行する可能性があります。腎障害の頻度が高く、両病型のTSSでよくみられます。またレンサ球菌によるTSSでは急性呼吸窮迫症候群(約55%)、凝固障害、肝障害の合併頻度が高いとされています。 
こうした臓器障害が慢性化・長期化した場合、身体的な機能制限として日常生活に継続的な支障をきたすことがあります。

TSSで障害年金はもらえるのか

結論として、「TSSにかかった」という事実だけで障害年金が支給されるわけではありません。しかし、TSSによる臓器障害や後遺症によって、日常生活や就労が継続的に制限されている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。
障害年金では、病名よりも「生活能力」「労働能力」がどの程度制限されているかが重視されます。腎障害や肝障害が慢性化している場合は内部障害として、また倦怠感や体力低下が著しい場合は、その原因となっている病態に応じた区分で審査されます。

障害年金の審査で重視されるポイント

審査では、主観的な「つらさ」だけでなく、具体的な生活状況が確認されます。一人で日常生活を送れているか、通院・服薬管理ができているか、就労の継続が可能かといった点が、診断書や病歴・就労状況等申立書で見られます。
腎機能・肝機能などの検査数値も重要な判断材料となります。就労していたとしても、短時間勤務に限られている、頻繁に休む必要がある、職場の特別な配慮がなければ続けられないといった実態があれば、不利になるとは限りません。

診断書作成で意識したい伝え方

臓器障害の数値や身体症状は記録に残りやすい一方、倦怠感や活動制限の実態は医師に伝わりにくいことがあります。「しんどいです」と伝えるだけでなく、生活への影響を具体的に説明することが重要です。
例えば、「外出後は翌日一日寝込む」「家事の途中で横になる必要がある」「通院のみで精一杯で仕事に戻れない」「家族の支援がなければ生活が成り立たない」といった、結果として生じている制限を整理して医師に伝えることで、診断書の内容が実態に近づきます。

自分を責めすぎないでほしい

TSSは突然発症する疾患であり、本人の生活習慣や努力不足とは無関係です。それでも、「もう退院したのに働けない」「体が戻らないのは自分が弱いからだ」と自分を責めてしまう方は少なくありません。
しかし、臓器に与えたダメージが回復しきらないことや、急激なショック後に体力が戻らないことは、医学的にも十分あり得ることです。障害年金は、そうした状況にある方が生活を立て直すための支えとして用意されている制度です。

一人で抱え込まず専門家に相談を

TSSの後遺症や臓器障害を抱えながら生活するのは、想像以上に大きな負担です。「まだ人に頼るほどじゃない」と無理をする前に、主治医に現状を正直に伝え、必要に応じて障害年金に詳しい社労士などの専門家に相談することをおすすめします。
TSSの後遺症や合併症によって、生活や仕事に支障が出ている場合は、支援につながる選択肢があることをぜひ知っておいてください。

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