幻覚が見えるのはおかしいことではない。知覚の異常と障害年金の関係

実際には存在しないものが見える、誰もいないのに人影が見える、現実なのか幻なのか分からなくなる。こうした幻覚が見える状態に悩みながら、「人に言ったらおかしいと思われるのでは」と一人で抱え込んでいませんか。幻覚は決して珍しい症状ではなく、病気や障害の一部として現れることがあります。

そして、幻覚によって生活や仕事に支障が出ている場合、障害年金の対象となる可能性があります。

この記事では、幻覚と障害年金の関係について分かりやすく解説します。

幻覚が見えるとはどのような状態か

幻覚とは、実際には存在しないものを、あたかも本当に存在するかのように感じてしまう知覚の異常です。視覚的な幻覚(人や物、影が見える)だけでなく、幻聴や体感幻覚などを伴うこともあります。

本人にとっては非常に現実的で、「見えている」「感じている」ため、周囲から否定されるほど混乱や不安が強くなります。自分でも「おかしいのでは」と感じながら、どうにもできない状態が続くケースも少なくありません。

幻覚が生活や仕事に与える影響

幻覚があると、日常生活の安全や安心が大きく損なわれます。外出すると恐怖を感じる、人の目が気になって家から出られない、現実と幻覚の区別が難しくなるなど、行動範囲が著しく制限されることがあります。

仕事では、集中力が続かない、指示が理解できない、周囲との意思疎通がうまくいかないといった問題が起こりやすくなります。その結果、欠勤や休職が増え、就労の継続が困難になるケースも少なくありません。

幻覚の背景にある主な病気や障害

幻覚が見える背景には、さまざまな病気や障害が関係しています。代表的なものとして、統合失調症、双極性障害、重度のうつ病、認知症、てんかん、せん妄などが挙げられます。

また、薬の副作用や離脱症状、強いストレスや睡眠障害がきっかけとなって一時的に幻覚が現れる場合もあります。重要なのは、「幻覚があるかどうか」だけでなく、それが継続して生活にどの程度影響しているかです。

幻覚が見える人は障害年金の対象になるのか

結論として、幻覚が見えるという症状だけで障害年金が支給されるわけではありません。しかし、幻覚を含む精神疾患や神経疾患によって、日常生活や就労が著しく制限されている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

障害年金では、症状の有無よりも「生活能力」「労働能力」がどの程度制限されているかが重視されます。幻覚によって外出や就労が困難、常に見守りや支援が必要な状態が続いている場合は、精神の障害として審査されます。

障害年金の審査で重視されるポイント

審査では、「幻覚が見える」という事実だけでなく、それによって生じている具体的な支障が確認されます。一人で安全に生活できるか、外出や対人関係に制限があるか、服薬管理ができているか、就労の継続が可能かといった点が、診断書や病歴・就労状況等申立書で見られます。

就労している場合でも、強い配慮が必要、短時間勤務に限られている、欠勤が多いといった事情があれば、必ずしも不利になるとは限りません。

診断書作成で特に大切な伝え方

幻覚の症状は、診察時に落ち着いていると軽く見られてしまうことがあります。そのため、「幻覚があります」と伝えるだけでなく、生活への影響を具体的に説明することが重要です。

例えば、「幻覚が怖くて外出できない」「現実との区別がつかず混乱する」「仕事を続けられない」「常に家族の見守りが必要」といった、結果として生じている制限を医師に伝えることで、診断書の内容が実態に近づきます。

恐怖や不安を一人で抱え込まないでほしい

幻覚が見える状態にあると、「自分は壊れてしまったのでは」「人に知られたら終わりだ」と強い恐怖や孤独感を抱きがちです。しかし、幻覚は病気や障害の症状として起こるものであり、本人の弱さや性格の問題ではありません。

障害年金は、そうした状態の中で生活を守るために用意されている制度です。

早めに専門家へ相談することが大切

幻覚が見える状態が続いている場合は、まず医療機関での継続的な治療が重要です。そのうえで、障害年金に詳しい社労士などの専門家に相談することで、「今の状態が制度上どう評価されるのか」を整理することができます。

恐怖や不安を抱えたまま無理を続ける必要はありません。支援につながる選択肢があることを、ぜひ知っておいてください。

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