スティル病(成人発症スティル病)で障害年金は受給できる?認定の考え方と注意点

スティル病(成人発症スティル病)は、発熱や関節痛、発疹などの全身症状を繰り返す指定難病です。症状の強さに波があり、「良い日もあるから障害年金は無理なのでは」「難病でも必ず認められるわけではないと聞いた」と悩む方も少なくありません。

実際、スティル病と障害年金の関係は分かりにくく、誤解されやすい分野です。

本記事では、スティル病が障害年金でどのように評価されるのか、認定の考え方や申請時の注意点を分かりやすく解説します。

スティル病(成人発症スティル病)とは

スティル病は、原因不明の炎症性疾患で、高熱、関節痛、発疹、強い倦怠感などを特徴とします。子どもに発症する若年性特発性関節炎の一型と、成人に発症する成人発症スティル病に分けられます。

成人発症スティル病は、指定難病に指定されており、長期にわたる治療と経過観察が必要になることが多い病気です。症状が寛解と再燃を繰り返す点が大きな特徴です。

スティル病が生活に与える影響

スティル病では、単に関節が痛むだけでなく、全身に強い影響が及びます。

・高熱が続き、日常生活が送れない
・関節痛や関節破壊により動作が制限される
・強い倦怠感で家事や外出が困難
・炎症による体調不良が長期間続く

症状が出ている時期は、仕事どころか最低限の生活を維持するのも難しくなることがあります。

症状の波がある病気でも障害年金は対象になるのか

スティル病でよくある不安が、「調子の良い日があると障害年金は無理なのでは」という点です。しかし、障害年金は一時的な状態ではなく、長期的に見た生活・就労への影響で判断されます。

症状が寛解と再燃を繰り返し、
・安定した就労ができない
・日常生活に継続的な支障がある

場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

スティル病と障害年金の基本的な考え方

スティル病は、症状や合併症に応じて、次のような障害として評価されることがあります。

・関節障害(肢体の障害)
・全身症状による内部障害
・治療による副作用の影響

単一の症状だけでなく、複数の症状を総合的に見て判断される点が重要です。

障害等級の考え方(目安)

障害等級2級が検討されるケース

・日常生活に常時援助が必要
・強い症状が継続し、外出や家事が困難
・就労がほぼ不可能な状態

高熱や関節痛が頻繁に再燃し、生活が大きく制限されている場合が該当しやすくなります。

障害等級3級が検討されるケース

・労働に著しい制限がある
・継続した勤務が困難
・配慮がなければ働けない

症状の波がありながらも、就労に大きな制約がある場合に検討されます。

指定難病であることは有利なのか

スティル病が指定難病であることは、それだけで障害年金が認められる理由にはなりません。
しかし、長期治療が必要で、症状が慢性的に続くことを説明しやすいという意味では、申請上の重要な背景事情になります。

難病であることよりも、
・実際の生活の困難さ
・就労への影響

を具体的に示すことが重要です。

診断書で重要になるポイント

スティル病の障害年金では、診断書の内容が結果を大きく左右します。

・発熱や関節痛の頻度と程度
・寛解と再燃の状況
・関節の可動域制限
・日常生活や就労への影響

「現在は落ち着いている」という表現だけで終わらず、再燃時の重さや頻度が記載されていることが重要です。

病歴・就労状況等申立書で伝えるべきこと

病歴・就労状況等申立書では、スティル病による生活の実態を補足します。

・発症から現在までの経過
・仕事を続けられなかった理由
・症状が出たときの生活状況

「一番つらい時」を基準に書くことがポイントです。

ステロイドや免疫抑制剤の影響も考慮される

スティル病の治療では、ステロイドや免疫抑制剤、生物学的製剤が使われることがあります。
これらの薬剤による副作用(感染症リスク、倦怠感、骨粗鬆症など)も、生活や就労への影響として考慮される場合があります。

スティル病で障害年金を検討するタイミング

・症状が長期間続いている
・仕事を休職、退職している
・生活に支障が出ている

このような場合は、「まだ早い」と思わず、制度を確認することが大切です。初診日や申請時期の整理も重要になります。

まとめ

スティル病(成人発症スティル病)は、指定難病であり、長期にわたって生活や就労に影響を及ぼす病気です。症状に波があっても、継続的な制限がある場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

重要なのは、病名そのものではなく、実際の生活の困難さを正しく伝えることです。スティル病による不安を一人で抱え込まず、制度を知り、必要に応じて専門家に相談することが、生活を守る第一歩になります。

障害年金コラムの関連記事はこちら