義眼の場合、障害年金や障害手当金は受け取れる?認定の考え方を解説

病気や事故により眼球を摘出し、義眼を装用することになった場合、「障害年金の対象になるのか」「年金が無理なら何ももらえないのか」と不安に感じる方は少なくありません。

義眼は外見上分かりにくく、日常生活を送れているように見えるため、制度上の扱いを誤解されやすい障害でもあります。実際には、義眼の場合でも障害年金や障害手当金の対象となる可能性があります。

本記事では、義眼と障害年金・障害手当金の関係を整理し、認定の考え方や申請時の注意点を分かりやすく解説します。

義眼とはどのような状態か

義眼とは、病気や外傷などにより眼球を摘出した後、眼窩に装用する人工の眼球です。
義眼はあくまで外見を補うためのものであり、視力や視野を回復させる機能はありません。

眼球摘出に至る原因には、眼のがん、重度の外傷、感染症、緑内障の末期などがあります。原因にかかわらず、視機能を恒久的に失っている点が、障害年金や障害手当金の判断に影響します。

義眼は障害年金の対象になるのか

結論として、義眼を装用していること自体が障害年金の対象になるわけではありません。
障害年金では、「義眼かどうか」ではなく、両眼の視力・視野の状態が評価されます。

そのため、
・片眼が義眼
・もう一方の眼の視力や視野が保たれている

という場合、原則として障害年金の等級には該当しないことが多いのが実情です。

障害年金で評価される「眼の障害」

眼の障害に関する障害年金では、次の点が重視されます。

・両眼の矯正後視力
・視野の欠損の程度
・日常生活や就労への影響

義眼の場合、多くは「片眼失明」として扱われますが、障害年金は両眼基準で判断されるため、片眼のみの障害では非該当となるケースが多くなります。

両眼に障害がある場合は障害年金の可能性がある

次のような場合には、障害年金の対象となる可能性があります。

・片眼が義眼で、もう片眼にも視力低下や視野障害がある
・両眼とも視力が著しく低下している
・日常生活や就労に大きな制限が生じている

このような場合、障害等級1級または2級が検討されることもあります。

障害年金に該当しない場合でも「障害手当金」がある

義眼の方にとって特に重要なのが、障害手当金の存在です。

障害手当金は、障害年金の等級には該当しないが、一定の障害が残った場合に支給される一時金です。

障害手当金とはどんな制度か

障害手当金には、次のような特徴があります。

・初診日に厚生年金に加入していた場合が対象
・障害の程度が軽く、年金等級に達しない場合に支給
・原則として一度きりの給付

「年金がもらえない=何もない」というわけではなく、障害手当金で救済されるケースがあることが重要です。

義眼の場合、障害手当金の対象になるケース

義眼の場合、次のようなケースで障害手当金が検討されます。

・片眼を摘出し、義眼を装用している
・視機能の喪失が恒久的である
・障害年金の等級には該当しない

眼球摘出は不可逆的な障害であるため、
障害手当金の対象になりやすい典型例とされています。

障害手当金で見られるポイント

義眼に関する障害手当金では、次の点が重視されます。

・眼球摘出という回復不能な障害があるか
・症状が固定しているか
・生活や就労に一定の制限があるか

外見が義眼で整っていても、視機能が失われている事実が評価の中心になります。

申請時に特に注意すべきポイント

初診日の年金制度

障害手当金は、初診日に厚生年金に加入していることが原則要件です。
国民年金のみの場合は対象外となります。

症状固定日の考え方

眼球摘出後、医学的に回復の見込みがない状態が「症状固定」となります。
この時点を明確にすることが重要です。

診断書の内容

・義眼装用の事実
・視機能喪失が恒久的であること
・生活や仕事への影響

が具体的に記載されている必要があります。

病歴・就労状況等申立書で生活への影響を伝える

診断書だけでは伝わりにくい部分は、病歴・就労状況等申立書で補足します。

・距離感がつかみにくい
・危険作業ができなくなった
・業務内容が制限された

といった点を具体的に書くことで、実態が伝わりやすくなります。

義眼の場合は「年金と手当金をセットで考える」

義眼の場合、実務では次のように整理すると分かりやすくなります。

・両眼に重い障害がある
 → 障害年金を検討

・片眼が義眼、もう片眼は比較的良好
 → 障害手当金を検討

・もう片眼にも障害がある
 → 両制度を視野に検討

自己判断で諦めず、両制度をセットで確認することが重要です。

まとめ

義眼であること自体が障害年金の判断基準になるわけではありません。
しかし、義眼は恒久的な視機能喪失を伴う障害であり、障害年金または障害手当金の対象となる可能性があります。

「年金に該当しないから終わり」と決めつけず、障害手当金も含めて制度を正しく理解することが、生活を守る第一歩になります。

障害年金コラムの関連記事はこちら