医師から「マグリナント（悪性）」と診断されると、「重い病気なのだから障害年金は受給できるはず」と考える方は少なくありません。しかし、障害年金は病名だけで支給が決まる制度ではありません。

実際には、マグリナントであっても不支給になるケースは珍しくないのが現実です。本記事では、マグリナントと障害年金の関係について、審査で重視されるポイントを分かりやすく解説します。

マグリナント（悪性）とは何か

マグリナントとは医学用語で「悪性」を意味し、がんなどの進行性の病気に使われます。診断書にマグリナントと書かれていると重い病気という印象を受けますが、障害年金では病名だけで受給が決まるわけではありません。

障害年金は病名ではなく生活への影響で決まる

障害年金の審査で重視されるのは、その病気によって日常生活や仕事にどれだけ支障が出ているかです。マグリナントという診断があっても、日常生活がほぼ自立しており、仕事も通常通りできていると判断されれば、不支給になることがあります。逆に、同じ病名でも生活や就労への影響が大きければ、受給できる可能性は高くなります。

治療内容と副作用が重要な判断材料

抗がん剤治療や放射線治療、免疫療法を受けている場合、治療名そのものよりも、副作用が生活にどう影響しているかが見られます。強い倦怠感が続く、吐き気やしびれがある、集中力が落ちる、横になって休む時間が増えているといった点は、障害年金の判断に大きく影響します。

日常生活でどれだけ困っているか

外出がつらく自宅で過ごす時間が多い、家事がほとんどできない、入浴や食事に時間がかかる、以前のような生活リズムを保てないといった変化は重要です。これらが診断書や日常生活状況申立書に具体的に書かれているかどうかで、評価は大きく変わります。

仕事への影響も細かく見られる

休職している、退職せざるを得なかった、時短勤務や配慮付き就労でないと働けないといった状況は、等級判断に直結します。単に働いているかどうかではなく、どの程度制限を受けながら働いているかが重視されます。

マグリナントでも不支給になる理由

病名が重いから大丈夫だと思い、準備不足のまま申請してしまうことはよくある失敗です。また、診断書の内容を確認せず提出し、実際のつらさが反映されていないケースも少なくありません。障害年金は書類だけで判断される制度であり、書かれていない事実は評価されません。

等級の目安

日常生活のほとんどに介助が必要な状態であれば1級、日常生活に大きな制限があり仕事ができない場合は2級、労働に明らかな制限がある場合は3級が目安になります。ただし、マグリナントという診断名だけで等級が決まることはありません。

まとめ

マグリナントは障害年金の審査において重要な病名ではありますが、最終的に判断されるのは生活と仕事への影響です。治療や副作用によって何ができなくなったのか、どのような支援や配慮が必要になったのかを、診断書と申立書で分かりやすく伝えることが、障害年金受給への最も大切なポイントになります。

岩本浩一

岩本　浩一 （いわもと こういち）
社会保険労務士法人あいパートナーズ 代表

このたび、障害をお持ちで苦しんでいらっしゃる方々やそのご家族の皆様に対して、何か少しでもお力になりたいという想いから、私を育んでくれた地元の松山市で当センターを立ち上げることにいたしました。

障害年金は、公的な制度であるにも関わらず認知度が低いため、本来であれば受け取る権利がある方でも、様々な理由により多くの方々が受給に至っていないのが現実です。当然ながら、手続きをしなければ受給できません。黙っていても誰かが教えてくれるものでもなく、結局は障害をお持ちの方々がご自身で気付くしかないのです。何とか障害年金の相談まで辿り着いたとしても、またしても高いハードルが立ちはだかります。

そうした理由から、請求に必要な書類を準備する事が出来ず、手続きすらできないという状況になり、障害年金の申請を諦めてしまっている方が多くいらっしゃいます。

早く、障害年金のことを知っていればよかった、最初から専門家に相談すればよかった。

相談の現場で、最も耳にする言葉です。

障害年金の請求で一番大事なことは、不安を感じたり、わからないことがあったりしたときに、すぐに専門家に問い合わせをすることです。

ひとりで悩みを抱えず、まずは当センターにお気軽にご相談ください。
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