
障害年金の申請を考えたとき、「自分一人で手続きを進めるのは難しいのではないか」と不安を感じる方は少なくありません。必要書類の準備や、これまでの病歴・就労状況を整理して伝える作業は想像以上に負担が大きく、途中で手が止まってしまうこともあります。 今回ご紹介するのは、注意欠陥多動障害(ADHD)と双極性障害により日常生活や就労に支障が生じていた方が、医療機関からの紹介をきっかけに障害年金の請求を行った事例です。ご本人は手続きに強い不安を抱えていましたが、面談を通じてこれまでの経過を整理し、障害厚生年金2級の受給決定に至りました。 さらに、受給決定後には第2子の出生に伴い、加算の手続きも行っています。本記事では、幼少期からの特性や就労の経過、日常生活での困難さを踏まえながら、どのように請求を進めていったのかを具体的にご紹介します。
相談者
相談者: 今治市の女性(30代)
傷病名: 注意欠陥多動障害 双極性感情障害
申請日: 令和6年(2024年)8月
支給決定日: 令和6年(2024年)10月
決定した年金種類と等級: 障害厚生年金2級 (年間約160万円)配偶者+子供1人加算あり。のちに第2子加算年間約23万円
相談時の相談者の状況
相談者は、幼少期から忘れ物の多さ、片付けの苦手さ、対人関係のつまずきが続いていた方です。小学校低学年の頃から宿題の管理や提出がうまくできず、部屋の片付けも自力では難しい状態がみられていました。中学・高校でも同様の傾向が続き、学校生活の中で人間関係の負担や生活管理の難しさを抱えていました。
専門学校卒業後に事務職の仕事をしたが、職場での人間関係や業務上の負担が重なり、精神的に不調をきたして受診に至っています。
相談者は障害年金の請求を考えていたものの、自分で手続きを進めることに強い不安がありました。必要書類の準備や申立内容の整理を一人で進める自信が持てず、どう動けばよいのか分からない状態でした。
そのような中、通院先のクリニックから紹介を受けて面談を行い、サポート契約となりました。
幼少期から現在まで一貫して、忘れ物の多さ、期限管理の苦手さ、片付けができないこと、対人関係の不器用さが続いていました。また就労した後も職場の人間関係に強い疲労を感じる、陰口や周囲の言動に過敏になってしまうなどの困りごとが重なり、安定した就労の継続が難しくなっていました。
その後、結婚・出産を経てからは、家事や育児の負担がさらに大きくなりました。子どもの送迎や園の書類対応、夕方に子どもと過ごす時間の負担、入浴や身の回りの清潔保持、支払い期限の管理なども一人では十分にこなせず、夫や実家の支援が欠かせない状態でした。家族以外の人と関わることへの怖さも強まり、社会生活上の困難も深刻化していました。
相談から申請までのサポート
今回の請求では、単に診断名だけを並べるのではなく、幼少期から続く特性と、就労・家事・育児に及んでいる具体的な支障を丁寧に整理することが重要でした。
特に、相談者の場合は、初診前からみられていた生活上の困難、働いていた時期のつまずき、結婚・出産後に顕在化した日常生活能力の低下が、時系列でつながっていることがポイントでした。申立書では、学生時代から「忘れる」「片付けられない」「期限に間に合わない」といった特性が続いており、就職後も職場不適応や離職を繰り返し、最終的には家事・育児・金銭管理にまで大きな影響が及んでいる様子が確認できます。
そのため、面談では本人の不安に配慮しながら、これまでの生活歴や就労歴、通院経過、家庭内での支援状況を一つずつ確認し、診断書だけでは伝わりにくい実態を申立書の内容と整合する形でまとめていきました。
自分で手続きを進めることに不安が強い方の場合、請求そのものが大きな負担になりやすく、必要な情報の整理だけでも難航しがちです。本件でも、紹介をきっかけに早い段階で面談ができたことで、請求の方向性を整理しやすくなりました。
結果
請求の結果、障害厚生年金2級が認められました。
さらに、受給決定後の半年後に第2子が生まれたため、加算開始事由該当届を追加で提出しました。障害厚生年金では、一定の要件を満たす子がいる場合に加算の対象となることがあるため、受給決定後も家族状況の変化に応じた手続きが重要になります。
今回の事例は、自分で障害年金の手続きを進めることに不安があったものの、医療機関からの紹介をきっかけに面談につながり、病歴や生活状況を丁寧に整理して請求したケースです。障害年金は、診断名だけで決まるものではなく、就労や日常生活にどのような支障が出ているかを適切に伝えることが大切です。今回のように、幼少期からの生きづらさ、就労の継続困難、家庭生活での支援の必要性を具体的に示すことが、請求において重要な意味を持ちます。
愛媛・松山障害年金相談センターから皆様へ
障害年金の申請は、「自分でできるかもしれない」と思う一方で、実際に進めてみると手続きの多さや内容の整理の難しさに戸惑う方も少なくありません。特に、これまでの生活状況や困りごとを正確に伝えることは、想像以上に負担が大きいものです。
今回の事例のように、不安を感じながらも一歩踏み出し、状況を丁寧に整理することで、結果につながるケースもあります。申請を検討しているものの、「何から始めてよいかわからない」「自分で進める自信がない」と感じている方は、一度状況を整理するところから考えてみることも一つの方法です。
障害年金は、現在の生活状況やこれまでの経過を適切に伝えることが重要です。お一人で抱え込まず、ご自身の状況に合った進め方を見つけていただければと思います。























