障害年金と生活保護は併用できる?制度の違いと調整のコツ

障害を抱える方を支える公的制度として、「障害年金」と「生活保護」があります。どちらも経済的な支援を目的とした制度ですが、「併用できるのか?」「どちらを優先すべきか?」といった疑問が現場では多く聞かれます。

特に、医療ソーシャルワーカー(MSW)や相談支援専門員にとって、制度の違いと調整の方法を理解することは、患者の生活支援に直結する重要な知識です。

障害年金と生活保護、それぞれの制度の特徴

まず、障害年金は「公的年金制度の一部」であり、一定の保険料納付要件を満たしたうえで、障害状態に該当すると支給されるものです。国民年金(障害基礎年金)や厚生年金(障害厚生年金)などがあり、病気やけがで生活・就労が困難になった人を支援します。

一方、生活保護は「生活に困窮するすべての人」を対象にした制度で、資産や収入が一定以下の人に、生活費や医療費などが支給されます。保険料納付歴に関係なく、困窮状態であれば申請可能です。

併用は可能だが、支給額には調整が入る

結論から言うと、障害年金と生活保護の「併用は可能」です。ただし、生活保護は“最低生活保障”の役割を持っているため、障害年金を受給すると、その分だけ生活保護の支給額が減額されます。

たとえば、生活保護の基準額が月12万円で、障害年金が6万円支給されている場合、差額の6万円が生活保護費として支給されるというイメージです。つまり、障害年金は“収入”として生活保護に算定されるため、結果的には生活保護費が「調整」される形になります。

ソーシャルワーカーとして意識すべき調整のコツ

障害年金と生活保護の両制度に関わる際、ソーシャルワーカーは次のような点に注意することが重要です。

まずは障害年金の申請を優先する

生活保護は最終的なセーフティネットであるため、受給の可能性がある障害年金の申請を優先することが基本です。年金は“権利”として継続的に保障される支援であり、医療扶助などと併せて制度の土台となります。

生活保護ケースワーカーとの情報共有を忘れずに

障害年金の申請が進行中であること、認定の見込みや受給時期などを、ケースワーカーと共有しておくとスムーズです。受給が決定した際には、生活保護の収入認定に関わるため、速やかに報告が必要です。

医療費や加算対象には違いがある

生活保護を受けている場合、医療費は原則無料ですが、障害年金のみを受給している人には自己負担が発生します。また、生活保護には障害者加算や特別基準などの調整もあるため、ケースごとの個別対応が求められます。

併用する際の支援のポイント

制度を併用する場合、患者本人や家族の不安を軽減するため、わかりやすく説明することもソーシャルワーカーの大切な役割です。

「障害年金が出ると生活保護が切られるのでは?」と不安に思う方も多いため、「生活保護は必要に応じて継続されます。年金があっても、生活が安定するまでは支援が続きます」と説明することで、安心感を持ってもらえます。

また、どちらの制度にも手続きのタイミングや書類準備が必要です。患者が一人で対応するのが難しい場合は、社労士や地域の相談機関と連携しながら、負担を減らしていく支援体制を整えることが大切です。

まとめ:制度の仕組みを理解して、柔軟に調整を

障害年金と生活保護は、それぞれ制度の目的や性質が異なりますが、併用も可能であり、現実的には多くの人がこの2つの制度を組み合わせて生活を支えています。ソーシャルワーカーとしては、制度の違いを整理しつつ、本人の生活状況や受給可能性を見極め、ケースワーカーや社労士との連携を通じて、最適な支援に繋げていくことが求められます。

一人ひとりの状況に応じた柔軟な対応が、安心した生活の第一歩になります。制度を正しく理解し、適切に活用していきましょう。

まずは専門家にご相談ください

障害年金の申請は、制度の理解と書類の準備が重要なポイントになります。

愛媛県で障害年金の相談をされる方は、愛媛・松山障害年金相談センターへご連絡ください。初診日や保険料納付の確認、診断書や申立書のサポートなど対応しています。

患者さんの生活の安心を守るために、制度の正しい案内と、専門家への連携を活用していきましょう。あなたのひと言が、患者さんの人生を支える力になります。

>>障害年金申請めんどくさいと思っている方へ 面倒な障害年金の申請は社会保険労務士へ

>>当事務所に依頼するメリット

障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度であります。
障害者のための特別な手当と勘違いされている人も見えますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある人に対して支払われる生活補助金です。

>>障害年金の基礎知識について

>>障害年金の受給額について

対象となる障害について

障害年金というと、肢体障害、目の障害、聴力の障害など外見でわかる障害のイメージが強いですが、実は様々な傷病が障害年金の対象となります。

下の図で障害年金の対象となる傷病を紹介していますのでご覧ください。これらはほんの一部で、本当に多くの傷病やケガが対象になります。しかし同じような症状でも、傷病名によっては対象外とされてしまうこともありますので、注意が必要です。

障害年金に該当しているかどうか簡単に診断できるページがありますのでもし障害年金をもらえるかもと思った方は是非診断してみてください。

>>障害年金に該当しているかどうか簡単に分かる1分間受給判定

目の傷病

白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球萎縮、網膜色素変形症、両人工的無水晶体眼、眼球振盪症 など

聴覚

メニエール病、感音性難聴、突発性難聴 など

肢体

重症筋無力症、関節リュウマチ、脊髄損傷、進行性筋ジストロフィー、変形性股関節症、人工股関節など

脳の傷病

脳卒中、脳出血 、脳梗塞など

精神

統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん、発達障害、知的障害など

呼吸器疾患

気管支ぜん息、肺線維症、肺結核など

心疾患、高血圧

狭心症、心筋梗塞、高血圧性心疾患、悪性高血圧症など

腎疾患、肝疾患、糖尿病

慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析、肝硬変、肝ガン、糖尿病、糖尿病性と明示されたすべての合併症 など

その他

悪性新生物(ガン)、高次脳機能障害、化学物質過敏症、各種難病(強皮症、パーキンソン症候群)、その他難病など

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
自分で判断できない場合は、専門家にご相談ください。

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医療ソーシャルワーカーの方でもお気軽にお問い合わせください(四国地域限定)。

当事務所に依頼するメリット

障害年金はご自身で申請することができます。
ご自身で障害年金を申請する場合は多くのハードルがあります。

なぜ当事務所に依頼した方がいいのか依頼するメリットについて解説します。

医療ソーシャルワーカーが障害年金に取り組む難しさ

医療ソーシャルワーカーの皆様は、日々、お忙しい中、患者様の悩みや相談に乗られていることと思います。しかも、悩みや相談を持ちかけてくる患者様を取り巻く環境は複雑で、家族関係、経済状態に問題を抱えていることが多く、解決は一筋縄ではいかないことが多いと思います。

我々が専門としている障害年金に関する相談も、まずは身近にいるソーシャルワーカーの皆様が受けることも多いかもしれません。

しかし、障害年金に関する相談には専門的知識が必要不可欠です。
保険料の納付要件などを確認し、正確に相談に乗るためには、時間もかかります。

私自身、ソーシャルワーカーの方が、上辺の知識だけで相談に答えてしまい、受給可能性がある患者様に間違った知識を持たせしまい「自分は障害年金がもらえるとは思わなかった」という相談も、残念ながら多く受けてきました。

社会保険制度が複雑化する現代において、医療ソーシャルワーカーの皆様が患者様のすべてを解決することは難しいのが現実ではないでしょうか。

社会保険制度の一つである障害年金に関するご相談も、必要な情報を提供し、我々のような障害年金の請求を数多くしている社会保険労務士を紹介するといった援助によって、患者様の悩みに解決の道筋をつける事ができると思います。

医療ソーシャルワーカーの皆様に「勉強会」をしております!

ソーシャルワーカーの皆様が障害年金のことを調べていて、一番苦労するのは「専門用語」だと思います。単に難しい言葉が使われているというだけではなく、よく知っている言葉なのに、それが意味することが異なっている場合があります。

障害年金のご相談を、日々お客様からお受けしている中で下記についてのご質問を多くお受けします。

初診日
障害認定日
事後重症

ソーシャルワーカーの皆様に障害年金のことをもっと知ってもらおうと思い勉強会も開催しています。
もしソーシャルワーカー向けに勉強会を開催してほしいと思われている病院関係者の方はご連絡ください。

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